調査
「開業医の経営・働き方に関する実態調査」
実施時期/2024年10月22日(火)~11月11日(月)
調査方法/インターネットでのパネル調査
パネル調査委託先/医師専用コミュニティサイト「MedPeer」
調査対象/全国の30~90代の医科の開業医500人
目次
1.開業医“人物”実態調査
- Q1.開業医の労働時間とは?
- Q2.開業医の睡眠時間とは?
- Q3.開業医の休日とは?
- Q4.開業医のやりがいとは?
- Q5.開業医の学びとは?
- Q6.開業医の「新薬」の情報収集とは?
- Q7.開業医のシステム導入率は?
- Q8.開業医の広告活用状況とは?
- 編集部“開業医考察”column1/開業医の労働環境は改善の余地あり。デジタル化を推進し業務の負担軽減を
2.開業医“悩み”実態調査
- Q9.開業医の悩みとは?
- Q10.開業医のスタッフの採用方法は?
- Q11.開業医の採用課題とは?
- Q12.採用ミスマッチを防ぐために取り組んでいることは?
- Q13.開業医が行っているスタッフ定着の工夫とは?
- Q14.スタッフの労働環境改善のための取り組みは?
- Q15.ペイシェントハラスメントを受けた経験は?
- Q16.開業医の「経営」相談相手は?
- 編集部“開業医考察”column2/大事なスタッフを守るために、ペイハラ対策は今後のクリニック運営に不可欠
3.“開業するということ”実態調査
- Q17.開業医の満足感とは?
- Q18.開業した動機とは?
- Q19.開業の準備期間は?
- Q20.開業するために、調達した資金は?
- Q21.開業前の準備は十分だったと思いますか?
- Q22.何歳で引退を希望していますか?
- Q23.引退後承継を考えていますか?
- 編集部“開業医考察”column3/開業準備には「信頼できるパートナー選び」が鍵。後悔のない開業に必要なのは「適切な情報収集」
調査データピックアップ
前年公開の「開業医白書2023」では、開業医の現実や取り巻く状況を把握し、医療業界の未来を考察するコンテンツとして反響を呼びました。
続く「開業医白書2024」では、毎年、調査を継続して実施することで、経年による変化からより正確な実態の把握が期待できるように。ここでは、新たな調査テーマ「ペイシャルハラスメント」をはじめ、その内容の一部をご紹介します。
開業医の71.2%がペイハラを受けた経験あり。開業医自身、スタッフともに大きなストレスに
医療を提供する側が、患者から理不尽な要求などを受ける「ペイシェントハラスメント(ペイハラ)」。経験のある開業医は、全体の7割以上と深刻な状態が見てとれました。
経験したハラスメントを見ると、「妥当性がない要求」52.2%が最も多く、その他の回答に「訴訟された」「スタッフが退職した」といった内容もあり、従業員への負荷が大きく経営面への影響も無視できない状況が浮き彫りとなっています。
それだけに、時間も精神力も必要とされるペイハラ対応を長期化させないためには、クレーム発生時に迅速かつ適切な「初手」の応対が重要となります。 院長だけでなく、スタッフ全員が応対するとともに、状況に応じて院長や役職あるスタッフにつないでいける体制が理想といえます。クレーム対応のマニュアル化などを通じ、効率的に動けるよう対策を講じておきましょう。


開業医の48%が「スタッフ採用」に悩み。従業員数が多いほどコミュニケーションに課題あり
前回の調査に続き、開業医の悩みで最も多かったのが「スタッフ採用」で、全体の48%が回答。注目したいのは、従業員数の違いがスタッフ関連の悩みに影響している点です。
5人未満の小さなクリニックでは、「スタッフとのコミュニケーション」が14.6%、「スタッフの離職率」が5.7%となっており、どちらも全体の割合よりも低いことがわかります。しかし、5人以上の規模のクリニックになると、「スタッフとのコミュニケーション」が20%を超え、「スタッフの離職率」は5~10人規模で17.3%、11人以上の規模では26.6%という結果に。
従業員の数が増えると、一人ひとりと密にコミュニケーションを取ることは難しくなります。そうした状況下でも円滑にコミュニケーションを図る対策が求められています。

開業医の労働環境改善には、医療DX化の推進が求められる
多忙な開業医の業務の負担を軽減する一手として期待されているのが「医療DX」です。しかし、調査結果からはデジタル化はまだ低調なことが浮き彫りになりました。
「医療DX令和ビジョン2030」(厚生労働省)では、電子カルテ情報の標準化が挙げられているものの、今回の調査で、開業医の電子カルテ導入率は全体で55.4%にとどまりました。ただし、40代以下では76.5%と高い結果となっています。
予約システムといったツールの導入には、資金面や労力の面で一時的に負荷がかかります。それでも若い世代ほど積極的にデジタル化を進めており、世代間で差が開いてきているのが実態です。今後さらに忙しくなる開業医にとって、医療DXが大きな鍵になりそうです。
