プロに聞いた「スクラブ」選びのコツ《患者が喜ぶ!メディカルウェア講座》

スクラブの選び方

「メラビアンの法則」によると、相手の発言内容がポジティブなのに、表情やしぐさ、身なりなどの視覚情報はネガティブ、という矛盾が生じると、視覚情報のほうが重視されやすいといわれています。そのため、診療中に発する言葉と同様に、服装もまた患者に与える印象を左右します。

患者に安心感を与え、着る側にも寄り添ったウェアはどのようなものなのでしょうか。こちらの「患者が喜ぶ!メディカルウェア講座」シリーズでは、メディカルウェア選びのヒントをお届けします。

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今回取り上げるのは、「スクラブ」です。メディカルウェアの中でも、近年多くの医療現場で着用者が増えており、もともと手術着としておなじみのアイテムでしたが、今はデザイン性や機能性の高い製品が増え、オンラインショップなどにも多種多様なスクラブが並んでいます。コストが低く、使い勝手の良さから、スタッフのユニフォームとして採用しているクリニックも多いと聞きます。

機能性の高いスクラブ開発に定評があるKAZENFOLKの2社に、プロの目から「スクラブをスクラブを選ぶコツ」を教えてもらいました。

患者の印象を左右する「メラビアンの法則」とは?

医療従事者にとってのユニフォームであるメディカルウェア。白衣やスクラブなどありますが、ドクターの皆さんは毎日どのようなものを着用されていますか?

ホテルや百貨店など、高いホスピタリティーが求められる現場の研修では「メラビアンの法則」が頻繁に用いられます。これはアメリカの心理学者アルバート・メラビアンが研究によって導き出した、人が他人とのコミュニケーションにおいて感情と見た目が矛盾していた際、言語情報、聴覚情報、視覚情報の中では、視覚情報が優先されるという法則です。

ホテルやレストランで、乱れた服装のスタッフからどんなに心のこもったサービスを受けても、客目線では「どこかこの人は信用できないな……」と感じてしまうもの。これは医療従事者にも同じことがいえ、「丁寧な対応だったけど、胸元から下着が見えていてだらしなかった」「診察内容には満足したものの、衣服にしわや汚れがあって清潔感がないと感じた」などとユニフォームの乱れによって、クリニックに対する印象がマイナスに転じる患者もいるようです。

患者は医療従事者の服装を意外と見ているものです。接遇に力を入れるととともに、適したウェアを身に着け、身だしなみを整えることは、患者からの信頼度をアップさせ、より良い診療につながるのではないでしょうか。

それでは早速、各メーカーからスクラブ選びのポイントを聞いていきましょう。

【ポイント1】汗じみ対策には、乾きやすい吸汗速乾性の高いものを

「患者と身近に接する医療従事者だからこそ、汗じみは身だしなみで気をつけたいポイントです。ポリエステル100%の素材で吸汗速乾性に優れたスクラブは、綿素材に比べてすぐに汗が乾きます。当直の医師がスクラブを着用したまま仮眠し、寝汗をかいてしまっても、すぐにさらっとした快適な状態で呼び出しに対応できるという利点があります」(KAZEN広報)

スポーツウェアのように汗をかいてもさらっとした感触のものであれば、汗じみが気になりにくい上に着心地もいいでしょう。汗がすぐに乾けば臭いも出にくいはず。速乾性にこだわって選ぶことで、患者からいつでも清潔な印象を持ってもらえそうです。

【ポイント2】清潔感が大事! 高機能な生地であれば、手をかけなくてもしわになりにくい

へたりにくい高機能生地を使ったスクラブは、洗って干すだけでしわになりにくく、アイロンいらずでお手入れが簡単です。例えば弊社の『133スクラブ(写真)』は災害派遣の現場で、バッグに放り込んだまま移動してもしわが目立たず、医療活動に役立ったという声もありました」(KAZEN広報)

しわのないきれいなウェアは患者からのイメージが良いだけでなく、着用者のモチベーションのアップにもつながるはず。手をかけなくてもきれいな状態が保てる生地かどうかといった点にもぜひ注目してみましょう。

133スクラブ

【ポイント3】前開きや肩スナップ開きなら着脱がスムーズで、着替え時間を軽減

「かぶりタイプのスクラブだと、ヘアスタイルが崩れてしまったり、メイクが襟についてしまったりすることがあると思います。羽織って前のファスナーを締める前開きタイプのような脱ぎ着しやすいものを選ぶといいですね」(FOLK広報)

もともとスクラブは手術着として着られており、着用者は男性医師が中心でした。最近では、看護師や受付、コメディカルスタッフまで着用シーンが広がり、女性の着用者も増え、ヘアメイクが崩れにくいよう着脱のしやすい商品が人気のようです。前開きタイプ以外では、下着が見えにくい浅めのV襟でも着脱しやすいように、肩にスナップがついているものなどがあります。形の面では体形に合っているかどうかが気になりがちですが、脱ぎ着しやすいかどうかも重要なポイントです。

【ポイント4】実用性の高さも大事。ポケットやループ、丁寧な縫製が働きやすさをサポート

「ポケットに必要な荷物がすべて入るか、名札などを着けるループが充実しているかといった、実用性の高さも注目したいポイントです。例えば、聴診器の出し入れがしやすい大きめのポケットや、消毒液ポーチを留めることに適したループなどを採用しているものなどがあります」(KAZEN広報)

実用性も仕事着であるスクラブに求められる大事な要素です。中には、表からは見えない部分にまで実用性にこだわったものもあります。例えば、袖の裏側の縫い合わせ部分をバイアステープでくるんだもの。耐久性が高まり、手術時にほつれによる糸くずなど異物混入の可能性を防ぐと同時に、着心地が向上するメリットがあるといわれています。

【ポイント5】色の力が患者をリラックスさせ、院内の印象を明るくする

患者をリラックスさせるのに有用なのが、カラフルなスクラブです。例えば、31色を展開する弊社の『PANTONスクラブ・シリーズ(写真)』を導入したクリニックからは、院内が明るくなったという声が届いています。また、子どもが多い医療現場では職種別に色分けしないことで、遊んでくれるスタッフと診療する医師の判別をつきにくくして、診療に対する恐怖心を和らげている事例もあるんですよ」(FOLK広報)

メディカルウェアといえば白の印象が強く、白衣を見るだけで緊張して血圧が上がってしまうという人もいると聞きます。色の持つイメージをスクラブ選びに活用することも有効かもしれません。

PANTONスクラブ・シリーズ

患者は医療従事者の細かいところまでよく見ています。ユニフォームをこだわって選ぶことで、より話しやすい雰囲気をつくり、患者と信頼関係を築く後押しになるかもしれません。お気に入りの一着をぜひ探してみてください。(クリニック未来ラボ編集部)

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