看護師の採用を成功させるために!求人募集時に心がけたい5つのポイント

看護師の求人募集時の心がけ

求人サイトや自院の採用ページを活用して看護師を積極的に募集しているが、応募がほとんどない。採用の連絡をしても、看護師側から採用辞退を告げられてしまう。このように、看護師の採用について悩んだことがあるクリニックの院長はいるのではないでしょうか。

看護師はクリニックの中でも医師の診療補助の中心を担う存在。処置、採血、点滴など看護師資格が必須な業務が多いクリニックほど、看護師不足は深刻な問題になりがちです。特に、院長自身が人事・採用業務まで担当しているクリニックの場合、業務が効率良く回らなくなるだけではなく、患者に提供する医療の質に影響が及ぶ可能性も。

そのため理想的なのは、急な人員不足になっても、看護師を募集すれば自院にマッチした人から応募が来る、また面接後、看護師に「ここで働きたい!」と思ってもらえる環境がつくられていることではないでしょうか。

そこで今回は、採用プロセスの中でも「求人募集」に着目し、医療機関向けの研修講師やビジネスコーチとして活躍するオフィス・グランツ代表の井原恵津子氏に取材。クリニックへの転職経験がある看護師たちから事前にヒアリングした、求人への応募時に不安を感じやすい5つのシチュエーションを例にして、クリニック側に求められる対処法を解説してもらいます。

オフィス・グランツ代表
井原恵津子

日本航空株式会社の国際線客室乗務員として勤務後、マナー研修などを主とする研修会社にて13年間主任講師として研修および営業・企画・新人講師の育成に携わる。2001年に独立し、オフィス・グランツを設立。現在も産業界、教育界、医療界での30年間の実績と経験をベースに、コンサルタント・講師として活躍している。

「一緒に働く大事な仲間」という敬意が求人募集時の不安を払拭する

自院にマッチした看護師からの応募が増え、採用辞退が減るようにするためには、まず応募者の不安を排除することが重要です。なぜなら、不安が応募というアクションを阻害するからです。それではそうした環境をつくる上で、クリニック側にはどのようなことが求められるのでしょうか。井原氏は「募集要項の内容や書類選考、面接時の対応に配慮を心がけることが大事」と言います。

「まず考えていただきたいのは、『なぜ看護師さんからの応募が少ないのか』『なぜ採用の連絡をしたときに辞退されてしまうのか』です。要因は様々考えられますが、その一つにはおそらく、募集や面接の段階で入職を考えている看護師さんに不安を感じさせてしまったためというのが大きいでしょう。

人の生死を預かり、失敗が許されないという仕事柄、看護師さんたちは募集要項の中身や相手の態度を、細かく見る傾向にあります。そのため、募集要項の内容一つを取ってみても配慮を欠くと、『このクリニックで働くには不安材料が多いから、他のクリニックに応募してみよう』と考えるきっかけとなる可能性が高いです。仮に入職したとしても、不安の多さを感じるようなことがあれば、すぐに離職につながるでしょう。

逆に、『これから一緒に働く大事な仲間なんだ』という敬意を持って、配慮に満ちた募集要項を作成したり、面接時も話しやすいよう空気をつくったりすれば、相手にも熱意が伝わり、信頼を得られやすいです。その結果、応募効果にもつながりやすくなるはずです」

待遇面の良さはもちろん大切ですが、チームワークを重んじる看護師にとって、仲間として一緒に働いていけるかも非常に重要なポイントのようです。どれほど待遇面が充実していても、勤務する上での不安を抱えている状態では、定着も見込めません。ではクリニックへの応募を考えている看護師は、具体的にどのような点に不安を感じやすいのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

【募集時の心がけ1】「その他」の業務内容は、業務範囲がイメージしやすいように

ここからは、転職活動中の看護師が、求人への応募時に不安を感じやすいよくあるシチュエーションを例に、井原氏が勧める心がけについて紹介します。

看護師が不安を感じるシチュエーション
Aさんがクリニックの求人サイトの募集要項を見た時、業務内容欄に「その他」と記載があった。具体的な内容が記載されていないため、1日の業務量や任される仕事がイメージできず、応募する決心がつかなかった。

求人サイトの募集要項の業務内容欄でしばしば見られる「その他業務あり」という言葉。転職中の看護師の中には「内容が抽象的でイメージしにくい」という意見が挙がっていました。

井原氏:クリニックの場合、病院とは異なり、受付や電話対応など医師の補助作業以外の雑務も看護師さんが行うことが多いですよね。そのため、「その他業務あり」のみの場合、業務範囲がどこまでなのか、不安を感じる看護師さんも少なくないようです。入職後のミスマッチを防ぐためにもどのような業務があるのか、具体的にイメージできるように書いておくことをお勧めします。

クリニックの規模や診る分野によって「その他」の業務内容、業務量は異なるため、すべて記載する必要はありません。ただし、「現在働いている看護師さんには、専門的な業務以外に、このような仕事をしてもらっています」といったように、代表的なものを1~2例記載することは可能なはずです。また、1日の具体的な業務量(スケジュール)を記すのも有用です。少しでも職場や仕事をイメージしやすい記載があるだけでも、看護師さんが抱える不安は軽減されると思います。

【募集時の心がけ2】外観だけではなく院長やスタッフが写っている写真を掲載

看護師が不安を感じるシチュエーション
Bさんが求人サイトを見ていたところ、仕事内容や勤務形態などが自分の経歴、ライフスタイルに合っているクリニックを見つけた。しかし、写真が建物の外観しか掲載されていない。建物の中の雰囲気や、一緒に働く院長、スタッフの顔がわからず、応募をためらってしまった。

求人サイトによっては、自院をアピールするために写真を掲載できるものもあります。写真を入れることで求職者の目に留まりやすくなるだけでなく、クリニックの雰囲気や仕事の様子を伝えやすくなるため、どのような写真を載せるのが良いかは悩ましいところです。

井原氏:求職者にとっては働くイメージがしやすいので、せっかくならなるべく人の顔が写った写真を載せたほうがいいでしょう。

離職理由の上位には常に「人間関係」が挙げられますが、特に職業柄、コミュニケーション力が高く、人の気持ちに寄り添っている看護師さんは、職場での人間関係も重視する傾向にあります。そのため、転職中の看護師さんの中には、掲載されている写真を見て「自分はどのような雰囲気の職場で、どのような人たちと一緒に働くのだろう」と前もってイメージしたいと考える人が少なからずいます。人間関係で悩みやすい看護師さんだからこそ、そういう事前情報は一つでも多く知っておきたいのかもしれません。ですから院長だけでなく、撮影に協力してくれるスタッフがいる場合は、可能な限り写真を求人に載せておくことをお勧めします。

求人サイトによっては、スタッフの写真だけでなくインタビュー記事を一緒に掲載できるものもあります。視覚的な効果はとても大きく、何より「先輩」の言葉は説得力があるため、活用してみても良いでしょう。

【募集時の心がけ3】求人条件だけでなく、クリニックの理念や院長自身の思いも伝える

看護師が不安を感じるシチュエーション
Cさんが求人サイトで見つけたそのクリニックは、給与や勤務時間など条件がぴったり合ったが、クリニックの理念や院長の考えにふれられていなかった。どんなことを診療で大事にしているクリニックなのかがわからず、院長との相性が気になり、応募を踏みとどまった。

条件面ももちろん大切ですが、転職活動中の看護師が気になるのは、やはり院長の診療に対する考え方。特に病院とは違い、人数が少ないクリニックの場合、院長と相性が合うかどうかは重要なポイントのようです。

井原氏:看護師さんは、院長と患者さんの間をつなぐパイプ役を担うため、転職先を決める際、院長とコミュニケーションがうまくいくかどうかは最も気になる条件の一つです。

その判断材料として、募集要項にクリニックの理念と合わせて、院長がクリニックを開院した背景や思い、患者さんと接する上で心がけていることなどを記載することをお勧めします。クリニックの雰囲気や院長の熱意が伝わりやすくなりますし、院長の思いや人柄に共感して「応募しよう」と心動かされる応募者もいるはずです。仕事観がマッチしていると、活き活きと働けるようになりますから、定着率の向上にも期待ができます。

【募集時の心がけ4】スタッフの人数、扱う症例はできる限り明確に記載

看護師が不安を感じるシチュエーション
家から近く、労働条件が自分のライフスタイルとマッチしていそうな求人をクリニックのホームページで見つけたCさん。しかし、在籍する看護師の人数や扱う症例の記載がない。人手不足で激務かもしれないという懸念や、扱う症例が自分のキャリアでは難しいものばかりだったらどうしようという不安がよぎり、応募を見送った。

人数や扱う症例の記載がないことで、求人の応募前に不安を感じてしまったことがある看護師は少なくないようです。

井原氏:看護師さんが気になるのは、クリニックが扱っている症例に対してどれくらいの看護師さんで業務を行っているのかという点です。このような場合、事例として具体的な数値情報を記すことが有効です。「現在看護師は○名で、1日平均○名ほどの看護師が勤務しています」「〇〇病や〇〇系疾患を中心に、さまざまな診療を営んでいます」といった情報を募集情報と合わせて載せてみてください。

入職後の仕事の忙しさや具体的な作業内容がイメージしやすくなりますし、丁寧に情報を発信しようとする姿勢に、「このクリニックはしっかりしていそうだ」「真剣に仲間を探しているんだな」と好印象を抱いてもらいやすくなります。

【募集時の心がけ5】書類選考の合否連絡は、無理のない期日を設定する

看護師が不安を感じるシチュエーション
求人サイトで気に入ったクリニックを見つけ、応募したEさん。求人情報には「応募確認後、2~3営業日以内に連絡いたします」と記載されていたが、5日たっても連絡がない。忙しいとは理解しつつも、「採用する気がないんだな」と諦め、同時に応募していた別のクリニックを本命にすることに決めた。

日々の診療の忙しさから、なかなか求人対応に手が回らない院長はいるかと思います。しかし、返事の遅さは求職者にとって応募のアクションの阻害要因となり、応募数の減少につながりかねません。上記のシチュエーションのように約束の期日を破ってしまうと、相手に心変わりをさせてしまうため、注意が必要です。

井原氏:誰でも、応募をしてから連絡が来ないと不安を感じてしまいます。しかも、どんなに悪気がないとしても、期日を過ぎても音沙汰がないようではクリニック側の熱意は伝わりようもありません。応募者の不安は次第に諦めに変わり、せっかく応募してくれた看護師さんとのご縁を自ら切るきっかけになってしまうでしょう。最悪の場合は「いい加減な仕事をするクリニックだ」「常識がないな」などと評判を落としかねません。

特に早く転職先を決めたい看護師さんほど、諦めや切り替えのタイミングが早いと考えられます。長く一緒に働ける仲間と出会う機会を失わないためにも、「応募後○営業日以内に連絡する」と記載している場合は、必ず期日を守りましょう。そのためにも、事前に無理のない期日を設定することが大切です。

そして、もし求人サイトに記載している期日までに連絡ができない場合は、前もってメールや電話で、応募してくれたことへの感謝の気持ちとともに、「遅くなってしまい申し訳ございませんが、〇日まで返事をお待ちいただけますでしょうか」と、応募者に必ずお伝えするようにしましょう。

【まとめ】

今回、紹介した看護師の求人募集時にクリニックが心がけたい5つのポイント、いかがでしょうか。求人サイトによっては文字数制限や仕様の関係で、すべては実施できないかもしれませんが、「一緒に働く仲間を迎え入れるんだ」という尊敬の気持ちを持って募集要項や応募後の対応に配慮することで、求職者の不安を軽減させることができるでしょう。その結果、面接に進む前段階で信頼関係を築くことができ、内定辞退や入職後の早期退職の防止につなげられるはずです。求人を出す際には、ぜひ看護師が具体的に働くイメージを描けるような内容を心がけてみてください。

<執筆者プロフィール>
トヤカン
フリーライター。正看護師として、大学病院での勤務を経てライターの道に。医療現場で培った経験をもとに、医療従事者向けのメディアを中心に記事を執筆している。甘味に目がなく休みの日は和洋問わず甘味巡りに没頭。

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