クリニックがWeb予約を導入するメリットとは?
患者のニーズが高まっているWeb予約は、「患者のために」という理由だけでなく、円滑で効率的なクリニック運営のためにも活用されています。
クリニックにとっては、主に以下のようなメリットがあります。
- 待ち時間が短縮され、患者の満足度向上につながる
- 予約の取りやすさが増し、再受診率の向上が期待できる
- レセプトコンピューターや電子カルテと連動できるシステムであれば、患者情報の管理が効率化し、業務全体の負担軽減につながる
- 電話対応が減るため、予約変更・キャンセル処理などのスタッフ対応時間を削減できる
- 受付や待合室の密集を回避でき、感染リスクを抑えられる
近年、初診は電話予約で再診はWeb予約、また、通常の診療はWeb予約だが特定の診療メニューは電話予約というように、電話予約とWeb予約を併用している医療機関も増えています。
また、「診療予約システム」そのものについてふれると、大きく分けて「順番予約制」と「時間予約制」の2つがあり、さらに、
- 保険診療は順番予約制、自由診療は時間予約制
- 一般診療は順番予約制、予防接種や検診は時間予約制
- 内科は順番予約制、小児科は時間予約制(複数の診療科目のある医院の場合)
など、「複合型の運用」も珍しくないようです。
クリニックの予約制の種類とそれぞれの特徴
クリニックの予約制は、大きく「順番予約制」「時間予約制」「時間帯予約制」「初診電話予約制」など、複数のスタイルに分かれます。ここからは、それぞれの特徴やメリット・デメリット、適した診療科を紹介します。
(1)順番予約制:診察が短めの科で使いやすい当日受付
順番予約制は「事前に診療の予約枠を確保する」のではなく、「当日に診療の順番を予約する」タイプの予約方法です。1日の患者数が多く、一人ひとりの診察時間が一定で比較的短い診療科目に向いていると考えられます。
適した診療科:小児科、耳鼻咽喉科、皮膚科など
大きく分けると、「来院による受付順番制(記入式・整理番号発券式など)」と、「電話やインターネットでの受付予約による順番取り制」の2パターンがあります。
来院による受付順番制(記入式・整理番号発券式など)
当日に受けつけた患者から順番に診察を行うシンプルな仕組みです。
患者が来院順に受付票に記名したり、発券された整理番号を受け取ったりして順番を待ちます。電話もインターネット(パソコンやスマホ)も不要なので、特に高齢の患者層が多いクリニックでは、昔から変わらないスタイルとして喜ばれる傾向にあります。
【メリット】
急な体調不良の際や、たまたまスケジュールが空いた場合など、患者は事前予約なしで受診できる。シンプルな仕組みのため、スタッフ側の運用負荷が少ない。
【デメリット】
来院が集中すると待ち時間が長くなりやすく、クレームにつながることもある。受付スタッフの負担増加も起こりやすい。
電話やインターネットでの受付予約による順番取り制
上記の「来院による受付順番制」と異なる点は、受付の方法です。窓口で直接受付を行うのではなく、インターネットの受付システムを使う、あるいはクリニックに電話をすることで、あらかじめ診察の順番取りを行います。
【メリット】
自宅や外出先から順番予約が取れるので、来院後の院内待ち時間を短縮できる。
また、ネット受付システムにメール機能がある場合は、「あと○番で順番が来ます」と知らせてくれるので、患者は適切な来院タイミングをつかみやすい。
【デメリット】
受付スタッフの受電対応やシステム入力といった業務が増える可能性がある。
特に電話予約の場合、通常の受付業務と並行して対応する必要があるため、「電話が取れない」「通常の受付業務が止まってしまう」といったロスやミスにつながるリスクも。
(2)時間予約制:診療時間を確保したい科向けの時間指定
時間予約制は、患者の来院時間をあらかじめ予約する方式です。予約患者のみを受け入れる「完全予約制」と予約患者を優先的に診る「時間予約制」の2種類に分かれます。
診療内容やクリニックのスタイルによって使い分けられますが、多くのクリニックでは、当日予約や飛び込み患者も受け入れられる時間予約制(予約優先制)が採用されています。
一般的に患者の年齢層が高めで、一人ひとりの診察時間が比較的長く一定ではない診療科目に向いているといわれます。
適した診療科:内科、眼科、整形外科、歯科など
完全予約制
完全予約制は、事前予約をした患者のみ受け入れる方式です。じっくりとカウンセリングを行いたい、集中して治療に向き合いたい、といった診療方針に適しています。
【メリット】
患者一人ひとりの診療枠が決まっているので、待ち時間がほとんど発生しない。待合室に患者が集中しにくく、院内感染のリスク減にもつながる。
【デメリット】
当日の飛び込み患者を受け入れないため、1日に診る患者数の上限が生じる。予約患者の遅刻・無断キャンセル・当日キャンセルがあると、その時間帯が空白になり、クリニックのリスクになり得る。
予約優先制
予約優先制は予約患者を優先的に診るという前提で、来院時間の予約を受けつける方法です。特定の時間に患者が集中しがちな診療科目に向いているといえます。
【メリット】
「9:00に1人、9:30に1人」のように患者の来院時間を分散でき、スタッフの負荷が均等になりやすい。また、一人ひとりの患者に適切な診療時間を確保しやすく、診療の質向上にもつながる。
【デメリット】
余裕を持って予約枠を確保しておかないと、前の時間帯の診療が次の時間帯に食い込んでしまい、待ち時間が発生しやすい。長く待たされた患者から、「何のための予約なの?」とクレームを受ける可能性がある。
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(3)時間帯予約制:混雑を分散しやすい時間帯ごとの受付
時間帯予約制は時間予約制とは違い、患者が希望する「時間帯」で予約する方法です。患者は「9:00~9:30の中の1人」というように、30分などの大きな枠の「時間帯」で予約し、その時間帯に患者が来院したら、順番待ちの最前列へ優先して案内します。
患者の来院タイミングを分散できるため、コロナ禍以降は感染対策として導入するクリニックが増えているようです。
【メリット】
ある程度、時間の幅があることで患者は来院しやすく、診療時間の目安も立てやすいため、「時間どおりに来たのに」というクレームが起こりにくい。
【デメリット】
もともと患者数の多いクリニックなどの場合、診療が予定どおりに進まず、患者の待ち時間が増えてしまうことがある。
(4)初診電話予約制:初診の状態把握を重視した電話ヒアリング
初診電話予約制は、初診に限り、予約時間を決める前に電話で症状をヒアリングし、その上で予約に進んでもらうという方法です。
中には、電話問い合わせの段階で医療ソーシャルワーカーやカウンセラーが相談内容を聞く体制を整えているクリニックもあり、心療内科や婦人科などで導入されることが多いようです。
【メリット】
電話でやりとりすることで、患者の様子を細かく把握できるとともに、会話を通じてコミュニケーションが取れることで、予約キャンセル率の軽減にもつながる。
【デメリット】
仕事や家事・育児などで忙しく、「手っ取り早く予約したい」という患者にとっては、電話のやりとりが煩わしく感じる可能性があります。
まとめ
今回はさまざまな予約制を紹介しました。クリニックの診療スタイルや患者数、患者の特徴などによって最適な方法は異なるため、「この予約システムがいい」と一概にはいえないものです。
予約システムには患者にもスタッフにもさまざまなメリットがあり、待ち時間の平準化や受電負荷の軽減、キャンセル抑止、満足度の向上などが期待できます。
患者にとってベストなドクターが一人ひとり異なるように、「最適な予約システム」はクリニックの数だけあるのかもしれません。各方式のメリットとデメリットをしっかり把握したうえで、ぜひ自院にふさわしい予約システムを探ってみてはいかがでしょうか。(クリニック未来ラボ編集部)
<執筆者プロフィール>
クリニック未来ラボ編集部
クリニック未来ラボは、開業医、開業をめざす勤務医・医学生に向けたクリニック経営支援メディアです。独自の視線で調査・研究し、より良い医院経営に役立つ情報として発信。「開業医白書」をはじめ、診療報酬改定や医師の働き方改革、医療従事者の転職動向など、医院経営に関する調査レポートも公開しています。


