【プライバシーを守る工夫1】個室問診&記入用紙で「聞かれたらどうしよう」を防ぐ
診察する上で大事な情報とは理解していても、便の状態や月経周期などについて話すことに恥ずかしさを感じてしまう人は少なくありません。ましてや「この話が周りに聞こえてしまったら……」と思うと、さらに口が重くなってしまうことも。
診察前の事前ヒアリングは他の患者が大勢いる待合室ではなく個室で行う、診察中の声量に気を配るなどの配慮は、プライバシー保護に加えて患者が悩みを打ち明けやすい状況をつくるためにも大切なことです。

【プライバシーを守る工夫2】診察番号で呼び出し、名前を避けて安心感を
「○○さん、診察室にお入りください!」といった、昔ながらの実名での呼び出しに抵抗感を覚える人が、近年増えているといわれています。特に婦人科や泌尿器科の疾患といったデリケートな悩みを抱える患者にとって、受診していること自体、周りに知られたくないと感じる傾向が強いそう。
一方で、診察番号での呼び出しであれば、周囲に名前を知られる心配がなく、診察順も把握しやすくなるため喜ばれる患者も多いです。
【プライバシーを守る工夫3】カルテの個人情報を厳重管理し、視界に入れない工夫
前編のリアルな声を見てもわかるとおり、患者の視線は広く、そして鋭いもの。
「診察室の机の奥に、先に診察していた患者さんのカルテが置いてあった」「転写式の問診票に、前の患者さんの筆跡が残っていた」と気づき、思わず「自分の個人情報は大切に扱ってもらえるだろうか?」と不安を覚えてしまうことも、しばしばあるそうです。
患者の退室時に必ずカルテを片づける、電子カルテの場合は次に診察する患者の情報に画面を切り替えてから入室を促すなど、基本ともいえる気遣いが不可欠です。

【プライバシーを守る工夫4】待合室の椅子配置で周囲を気にせず過ごせる空間づくり
診察と切っても切り離せない待ち時間は長時間に及ぶこともあり、待合室での過ごしやすさはクリニック選びの決め手の一つとなります。
患者同士の目線が合わないよう椅子の向きを調整したり、窓側にカウンターを設置し一人掛けの椅子を並べたりと、患者が思い思いに過ごせるような心配りが光るクリニックも数多く登場しています。他の患者とのスペースにゆとりがあれば、問診票の記入時に周りを気にしなくて済むのもプラスのポイントに挙げられます。

【プライバシーを守る工夫5】更衣室から検査室まで、恥ずかしさを減らす動線設計
袖を通すと、どこか落ち着かない気分になる検査着。特に女性の場合、検査に際して下着を外さなければいけないことが多く、医師やスタッフが同性であっても不安や気恥ずかしさを覚えてしまうものです。
患者が検査着に着替えたことを確認してから検査室に入室するなどの配慮に加え、検査室内に目隠し用のカーテンを備えた簡易の脱衣スペースを設置する、更衣室を出てから患者同士がすれ違わない動線を設けるなど、周囲の視線が気にならない環境づくりも重要です。

【プライバシーを守る工夫6】薬や会計時も安心!周囲に配慮した説明と対応
処方箋を渡したり、院内で薬を処方したりする際には、薬の用途や効能、使い方などの説明が必要となります。処方ミスを防ぐ上で大切な工程である一方、「薬の内容から自分がどんな病気にかかっているか知られてしまうのでは」と不安感を覚える人もいます。加えて、会計金額も「できれば周りに聞かれたくない」といった声も。
説明時の声量を抑えるのはもちろん、受付・会計窓口では複数人の患者を同時に応対しないなどの工夫も求められているといえます。
【まとめ】こまやかな配慮が患者の不安を軽減させる
医療機関は悩みや不安を抱えて訪れる場所なだけに、患者はいつもより少しセンシティブになっています。そして、その視線が細部にまで向けられている分、クリニック側のこまやかな配慮が、診療に対する患者の不安感を軽くするきっかけになるといえるでしょう。
診療におけるプライバシーへの配慮は、欠かせないポイントなのです。取り組みの一つ一つは、些細なものかもしれません。しかしその積み重ねが、「不快感のない受診」の実現につながるのではないでしょうか。(クリニック未来ラボ編集部)
イラスト/古藤みちよ
<執筆者プロフィール>
クリニック未来ラボ編集部
クリニック未来ラボは、開業医、開業をめざす勤務医・医学生に向けたクリニック経営支援メディアです。独自の視線で調査・研究し、より良い医院経営に役立つ情報として発信。「開業医白書」をはじめ、診療報酬改定や医師の働き方改革、医療従事者の転職動向など、医院経営に関する調査レポートも公開しています。