チラシを使ったクリニックの集患方法と実施の注意点を徹底解説!

チラシを使ったクリニックの集患方法と実施の注意点

クリニックの集患とは、自院の存在を地域の人々に知ってもらい、来院につなげるためにさまざまな施策を講じることです。

チラシは、サービスやイベントなどの情報を広く伝えるための広告手段ですが、クリニックの集患施策としても有効です。特に開業して日にちが浅いクリニックにとっては、開業した地域の広い層へ手軽に宣伝できる方法として高い効果が期待できます。

本記事では、クリニックの集患におけるチラシの効果や具体的な作成・配布方法について詳しく解説します。特に地域密着型クリニックや新規開業に適したツールとして、ターゲット層に合わせた活用方法を重点的にまとめました。集患を強化したい方や開業を控えている方は、ぜひ参考にしてください。

クリニック集患においてチラシは効果的か?

チラシは、サービスやイベントなどの情報を掲載した紙媒体を配布することで情報を伝達する広告手段です。配布エリアやターゲット層を選定することが可能であるほか、手元に残る媒体であるため、繰り返し見返されることで印象に残りやすい点が特徴です。

また、配布方法や枚数、地域などによって異なりますが、A4サイズのチラシ1枚あたりのポスティング料金が、数円程度という低コストで多くの情報を広範囲に届けることができる点もメリットです。

クリニックの集患施策として、チラシがどのような効果を発揮するかについては、WEB広告やホームページ、SNSなどの「オンライン施策」とチラシや看板、ポスター、イベント・講演などの「オフライン施策」を比較することでその特性が明らかになります。

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オンライン施策(WEB広告など)との違い

まず、オフライン施策の一つであるチラシとオンライン施策での集患には以下のような違いがあります。

昨今、患者がクリニック探しにおいて情報入手する手段はインターネットが主流ですが、その手段は年々、多様化しているため、オンライン施策とオフライン施策の両方をバランス良く組み合わせて集患することが肝要です。

 チラシオンライン施策
患者が情報を
入手する経路
受動的に情報を受け取ることができる自分から能動的に情報を探しに行く
ターゲット近隣住民、限定した地域利用者、インターネット非利用者インターネット利用者
効果測定正確な数値化が困難。平均的な反響率は0.01~0.3%といわれる詳細なデータ分析が可能
情報の保存性捨てない限り手元に残るため、長期的な効果が期待でき、保存性が高い傾向にある流し読みされやすく、また広告を非表示にできるため、保存性は低い傾向にある
費用面(相場)比較的低コスト。例えばA4サイズ(片面フルカラー)のチラシ1万枚をポスティングする場合、デザイン費2万~6万円程度、印刷費2万~5万円程度、配布費(軒並み配布)4万~5万円程度 ※配布エリアの密集度が高く、配布部数が多いほど、単価は安くなる継続的に費用が発生。例えばリスティング広告(検索連動型広告)の場合、月額20万~50万円程度

チラシはポストや新聞折込などを通じて届けられることから、受動的に情報を受け取る媒体に分類されます。一方、オンライン施策は能動的に情報を探している利用者や、オンライン上で特定の消費行動を行った人に届きやすいという点で異なります。

そして、チラシは地域住民やインターネット非利用者(特に高齢者層)への訴求力が高い一方で、オンライン施策はインターネット利用者全般を対象としています。

一般的にチラシの平均的な反響率は0.01~0.3%といわれ、1万部の配布で1~30人からの反応が見込める計算です。オンライン施策のリスティング広告などは比較的効果がすぐ出やすいですが、チラシの場合は徐々に効果が出てくるのが特徴で、手元に保管して後日行動する人も多いです。

また、チラシは比較的低コストで認知度向上を図れますが、その集患効果の正確な測定は困難である点には注意が必要です。効果の測定には「チラシをご覧になりましたか?」と患者に尋ねたり、チラシに二次元コードを掲載してWEBサイトへのアクセス数を計測したりするなど、間接的な方法にとどまります。

一方で、オンライン施策では継続的な費用が発生する場合が多いものの、広告を見た人の居住地域や年齢層、性別など詳細なデータを取得しやすく、正確な分析が可能です。

なお、チラシの外注費用は、依頼先やデザイン、印刷部数、サイズなどによって大きく変動します。本稿で紹介する金額はあくまで目安であり、実際の費用とは異なる場合があるため、依頼の際には複数の業者から相見積もりを取ることをお勧めします。

他のオフライン施策との違い

チラシは、クリニックの集患において有効なオフライン広告手段の一つですが、他のオフライン施策と比較すると、異なる特性や活用方法が見られます。この章では、看板やポスターなどとの違いについて解説します。

看板

看板は電柱や路上などに設置される広告媒体であり、クリニック名や場所などの基本情報を継続的に周辺住民に伝えるのに役立ちます。

通行人や近隣住民への視覚的な訴求力が高く、クリニックの場所や診療科目を認識してもらうために重要な役割を果たします。一度設置すれば長期間にわたり視認されるため、認知度向上に向いています。特に地域密着型クリニックには効果的です。

それに対してチラシは、クリニックの基本情報だけでなく、診療内容や医師の専門分野など、より詳細な情報を伝えることが可能です。また、開業時の内覧会案内やキャンペーン告知など短期的なイベントにも適しています。

ポスター

ポスターは、院内や待合室などに掲示される広告媒体であり、主に来院者を対象とした情報提供ツールです。患者が待ち時間に目にすることを想定して作成されるため、診療内容や施設の設備など詳細な情報を伝えることが可能です。

ポスターは院内掲示が主であり、来院者への情報提供を目的としている一方で、チラシは選定したエリアに配布することで、より広範囲の潜在患者層にアプローチできます。

イベント・講演

イベントや講演は、参加者に直接情報を提供し、質疑応答や対話を通じて双方向のコミュニケーションが可能です。チラシの場合は消費者が受け身の状態で情報に接するのに対し、この形式は、参加者が能動的に情報を探しに来るという特性を持っています。

健康に関する講演会や勉強会を開催することで、地域住民との信頼関係を構築し、新たな患者層へのアプローチが期待できるでしょう。また、院内で実施する場合にはクリニックの雰囲気やスタッフの対応を直接見てもらう機会となり、集患効果を高めることが期待できます。ただし、会場の手配や広報活動など準備に手間と費用がかかる点には注意しましょう。

交通広告

交通広告は、鉄道やバスなどの公共交通機関内やバス停に設置される広告媒体であり、掲載期間中は継続的な視認性を確保できる点が特徴です。交通広告は幅広い層へのアプローチが可能である一方で、コスト面では高額になる傾向があります。例えば、大都市の地下鉄の中吊り広告は1週間で約600万円の費用が発生することもあります。

これに対し、チラシは1枚あたり数円と低コストで配布できるため、新規開業するクリニックや予算が限られているクリニックには適した選択肢といえるでしょう。交通広告は特に都市部での認知度向上に効果的ですが、費用対効果を十分に検討した上で導入することが重要です。

新聞広告/雑誌広告/フリーペーパー

新聞や雑誌、フリーペーパーに掲載する広告は、特定の趣味や興味を持つ読者層に絞ってアプローチできる媒体です。一方、チラシは購読の有無にかかわらず、より幅広い層へのアプローチが可能です。

また、コスト面に大きな違いがあります。新聞や雑誌への広告の掲載料は高額になりがちです。例えば、神奈川県を中心に展開するタブロイド型のフリーペーパーの広告掲載料は、中面1ページ(全6段)あたり29万~70万円程度(地域によって異なる)となっています。毎週発行するとした場合、1ヵ月あたり125万~300万円程度の広告費用を要します。

新聞や雑誌、フリーペーパーはそれぞれ異なる特性を持ちますが、クリニックのターゲット層や予算に応じて適切な媒体を選択することが重要です。

クリニックのチラシの作成方法

クリニックのチラシを作成する際には、院内で制作する「内製」と、専門業者に委託する「外注」の2つの選択肢があります。それぞれの方法には利点と課題があり、クリニックの状況や目的に応じて適切な方法を選択することが重要です。

内製

チラシの内製とは、外部業者に委託せず、院内で企画から制作、配布までを完結させる方法です。この方法では外注費用を削減できるため、コストの抑制につながります。また、院内の患者データや診療情報を活用することで、ターゲット層に特化した効果的なチラシを作成できるでしょう。

ただし、内製にはいくつかの課題があります。まず、デザインや広告作成の専門知識が不足している場合、完成したチラシの質が低くなる可能性があります。

また、チラシは広告媒体に該当します。そのため詳しくは後述しますが、クリニックが広告活動を行う際に遵守しなければならない「医療広告ガイドライン」に違反する内容を掲載してしまうリスクも否定できません。内製化を検討する際は、事前にガイドラインを十分に確認し、適切な内容で作成するよう注意が必要です。

外注

チラシの外注は、企画から制作、配布までの全工程を専門業者に委託する方法です。広告やデザインの専門家に依頼することで、高品質なチラシが期待できます。医療広告ガイドラインに精通した外注業者を選定すれば、違反による罰則を受けるリスクを軽減できる点もメリットです。外注にはコストがかかるものの、長期的には効果的な集患につながる可能性があるといえるでしょう。

また、一部工程のみを外注することも可能です。例えば、チラシの配布のみを専門業者に依頼したり、デザイン制作だけを委託したりするなど、内製と外注を組み合わせて、院内のリソースと外部の専門知識を効果的に活用することで、コストと効果のバランスを最適化できます。

クリニックの状況や予算に応じて適切な方法を選択し、集患効果を最大化するための施策を検討してください。

クリニックのチラシのポイントと注意点

クリニックで配布するチラシについて、いくつかポイントと注意点があります。詳しく見ていきましょう。

医療広告ガイドラインを遵守

クリニックが広告活動を行う際には、「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針」、通称「医療広告ガイドライン」(※)を遵守しなければなりません。このガイドラインは、不適切な広告による患者の誤解や被害を防ぐことを目的としており、チラシを含む看板、ポスター、ホームページ、SNSなどの広告媒体に適用されます。

具体的には、医療広告ガイドラインでは以下のような内容が禁止されています。広告規制の対象外となる「限定解除」の要件を満たす場合を除き、違反した場合、罰則や損害賠償請求などの法的措置が取られる可能性があります。

  • 虚偽広告(事実と異なる内容)
  • 比較優良広告(他院との比較で自院が優れていると誤認させる表現)
  • 誇大広告(実際以上に効果などを強調する内容)
  • 公序良俗に反する内容の広告
  • 患者の体験談や治療前後の写真など、誤認を招く可能性がある表現

なお、医療広告ガイドラインについてはこちらの記事でも詳しく解説しています。

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医療広告ガイドラインの違反が疑われた場合には、担当機関による任意調査が行われ、広告内容の裏付けや説明を求められることがあり、万が一、違反が認められると行政指導が行われるだけでなく、以下の罰則が科される可能性があります。

  • 6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金
  • 報告命令違反や立入検査に対する違反の場合、20万円以下の罰金

※出典:医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)

チラシの構造的なポイントを押さえる

クリニックが配布するチラシの効果を上げるためには、以下の構造的なポイントを押さえる必要があります。

  • 写真を載せる
  • 掲載する情報の整理
  • 来院のための導線を設計する

まず、患者に具体的なイメージや雰囲気を伝えるため、クリニックの外観やスタッフの写真を掲載することが推奨されます。これにより、初めて来院する患者がクリニックの場所や雰囲気を事前に把握でき、安心感や信頼感を持ちやすくなります。

また、チラシにはターゲット層のニーズに合わせて絞った情報を記載し、「新規開院(リニューアルオープン)」「内覧会開催」「訪問診療を始めます」「予防ルームを開設」など、内容を簡潔でわかりやすく整理することが重要です。対応可能な疾患や実施している検査の種類など、患者にとって有益な情報を明確に記載してください。

さらに、患者がスムーズに来院できるよう導線を設計することも重要です。クリニック周辺地図やWEBサイトのURL、予約ページへのアクセスが可能な二次元コードなどを掲載し、患者が必要な情報に簡単にアクセスできる環境を整備しましょう。

デザイン上のポイントを考慮して作成

チラシのデザインでは視覚的な効果とレイアウトが重要です。特に以下の要素を考慮して作成すると良いでしょう。

  • 色使いとフォント選定
  • 「Zの法則」の活用

まず、ターゲットとする患者層に合わせた色使いやフォント、文字サイズを選定してください。

例えば色については、医療機関では緑色や青色のような清潔感や信頼感のある色が用いられることが一般的です。しかし、小児科ではパステルカラーやオレンジなど子どもが通院したくなるような明るい色、婦人科ではピンクやラベンダーなど優しさや温もりを感じる色といったように、自院の特徴に合わせて表現すると患者に明確なイメージをより伝えやすくなるでしょう。

次に、チラシを受け取る側の視線を意識しましょう。人間の視線は「左上→右上→左下→右下」の順序で動く傾向にあるといわれ、その視線の流れが「Z」の字になることから「Zの法則」と呼ばれています。この法則に基づき、読み手が一番に見る左上にはインパクトのあるキャッチコピーやタイトル、右上には補足情報、左下には詳細情報、右下には周辺地図やWEB予約の二次元コードなどの導線を配置すると効果的です。

デザインは年齢や性別などターゲット層の目線で作成し、視認性と訴求力を高める工夫を施してください。

クリニックのチラシの配布方法

クリニックのチラシを効果的に配布するためには、適切な方法を選択することが大切です。この章では、代表的なチラシの配布方法を解説します。

ポスティング

ポスティングは、クリニック周辺の地域住民が住む戸建て住宅やマンション、アパートなどの郵便受けに直接チラシを投函する方法です。この手法では、配布エリアや建物を選定することで、ターゲットを絞り込めるのが特徴です。

例えば小児科の場合、やはり子育て世帯が多く住むマンションやアパートに配布することで集患効果が期待できるでしょう。また、加齢に伴って増加する骨粗しょう症や関節症の治療を得意とする整形外科の場合、高齢者が多く居住する住宅地でのポスティングが有効です。

新聞折込

新聞折込は、狙ったエリアの新聞購読者に向けてチラシを直接届ける方法です。この手法は特に高齢者層へのアプローチに適しており、高齢者が主なターゲットとなる診療科目では大きな効果が期待できます。

折込日は新聞の休刊日を除けば自由に指定できますが、新聞折込の効果を最大化するためには、配布のタイミングが重要です。

例えば平日に外へ出ず家で過ごす時間の長い高齢者をターゲットとする場合は折込チラシが最も少ない月曜日に、土曜・日曜日に開催する内覧会へ近隣住民に足を運んでほしい場合はその1週間前(土曜・日曜日)と開催日の前日にといったように、患者の行動パターンに合わせて曜日を決めると良いでしょう。

また、一般的に折込チラシの枚数は、購読者が時間的に余裕のある土曜日が最も多く、次に金曜日、日曜日と続き、金曜日以外の平日は少ない傾向にあります。そのため、あえて競合の多い土曜日を避け、折込チラシの枚数が少ない平日を狙って配布することで、自院のチラシを目立ちやすくするのも一つの手です。

新聞の発行部数は年々減少傾向にあるとはいえ、新聞という信頼性の高い媒体を活用することで、クリニック自体の信頼性向上も見込めるでしょう。

街頭での配布

チラシは街頭での配布も可能な広告手段です。駅前や商業施設周辺など人通りの多いエリアやクリニック周辺で配布を行うことで、集患効果が期待できます。その効果を高めるためには、ターゲット層が多く集まる場所や時間帯を選定することが重要です。

配布の際には、通勤・通学時間帯や帰宅時間帯、週末、地域イベントの開催時など、効果的なタイミングを意識する必要がありますこれにより、多くの人々に効率的にチラシを届けることが可能となります。

ただし、街頭での配布は原則として警察や自治体から許可を得る必要があります。無許可での配布はトラブルや罰則につながる可能性があるため、事前に必要な手続きを行い、法令を遵守した上で実施しましょう。

まとめ

チラシは比較的安価な広告手段であり、特に新規開業するクリニックや患者数の伸び悩みに頭を抱えるクリニックにとって効果的な集患ツールといえます。

地域密着型のクリニックでは、配布エリアやタイミングを適切に選定することで、集患効果を最大化することが可能です。医療広告ガイドラインを遵守した上で、ターゲット層に合わせた内容とデザインを作成し、効率的な配布方法を検討することが重要です。(クリニック未来ラボ編集部)

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