在宅医療ニーズは拡大中。患者家族の声を聞き、より良い支援へ
近年、在宅医療が注目されていることは、下記のデータからも明らかです。
厚生労働省が平成29年に実施した「人生の最終段階における医療に関する意識調査」で、「末期がんになった場合、医療や療養を受けたい場所は?」という質問への回答を見てみると「自宅」と答えた人の割合は47.4%でした。平成24年に実施された同調査では、同様の質問に対して「自宅」と回答したのは37.4%。わずか5年で、在宅医療への関心が大きく高まっていることがわかります。
ただ、そうした「データから見た在宅医療ニーズの拡大」とは裏腹に、利用を検討中の人たちのホンネが医療機関に届きづらい面もあるでしょう。ここからは介護や在宅医療に関する意識調査インタビューを通じて、患者のホンネを掘り下げていきます。
介護生活を具体的にイメージできるような情報発信が大切に
Aさん:週末だけ通いで、末期がんの義母を自宅介護していた時期があります。義母は当時60歳だったので介護保険が適用されず、金銭的負担も少なくなかったのですが、「家で過ごしたい」という本人の強い希望に応えることに。介護の先頭に立ってくれた義妹をはじめ、ケアマネジャーさん、介護スタッフさんのおかげで、何とかやりきることができました。
そんな経験があるからか、実の両親とも、何かあったときどうするかを気軽に話し合えています。医療機関にかかった際に介護施設のパンフレットがあると、もらって読んだりすることも。ただ、「介護と仕事は両立できるの?」といった、肝心な部分はいまいちわからないですね。そこまでイメージできるような情報が、もっとアクセスしやすいところにあるとうれしいです。
在宅療養の利用も視野に入れているので、その分野に詳しいかかりつけを早いうちに見つけておきたいな。介護はされる側だけでなく、する側にも大きな負担がかかるもの、ということは経験上わかっているので、家族の気持ちに寄り添ってくれるドクターなのかは一番気にすると思います。
症状に応じて療養の形を判断することが、かかりつけには求められる
Bさん:私は介護未経験。まだまだ元気な両親にも、いずれ介護が必要になるときは来るものとわかってはいますが、最後をどこで迎えたいかを含め、将来について家族で話し合ったことはありません。避けているわけではないのですが、夫の両親が元気ということもあり、何となく話題に出しづらいのかも。介護が必要になれば、私もこれまでとはライフスタイルを大きく変えないといけないと思うし、きちんとケアしてあげられるか、考えると不安でいっぱいです。
今の段階でも、できるだけ本人たちの希望する場所で最後の時間を過ごしてもらいたいとは考えてはいるんですよ。そうはいっても、病状によってはやっぱり難しいでしょうから、家族だけでは判断できない、最適な療養の形を相談できるかかりつけを見つけておけば安心できそうですね。
在宅療養をバックアップしてもらうなら、治療方針や考え方がマッチして、ストレスなくお付き合いが続けられるクリニックと出会いたいと思っていて。ドクターや看護師さんが来てくれると、本人も、家族もぱっと明るい気持ちになれる。そんな関係を築くのが理想です。
施設に入所しても途切れない訪問診療が患者と家族の安心に
Cさん:義母が、胃がんと脳梗塞を併発した義父をわが家で看ていたことがあります。その時に、かかりつけの頼もしさを実感しました。クリニックとの出会いのきっかけは、ケアマネジャーさんから「訪問診療をしてくれる、かかりつけ医を見つけてください」とアドバイスされたこと。それまでは都度、往診や入院加療を使い分けていただけだったので、慌てて近くを探したんです。
そのかいあって、とても素晴らしいところを見つけられました。専門性の高いドクターと看護師さんが、毎回、ペアで訪問してくれたり、義父が施設に入所すると、そちらにも週数回は足を運んでくれたり。状況の変化に合わせて柔軟に対応してもらえたことが、義父にとっても私たち家族にとっても大きな安心材料になったんです。
実をいうと、私の両親の介護については、まだ具体的に考えておらず……。在宅医療の相談窓口があると聞いてはいても、本当に必要になるまではちょっとハードルが高いかな。でも相談先がないというのも心配なので、義父を診てくれたところのような、信頼できるかかりつけ医を早めに探しておくのが、自分にとってはベストかもしれません。
【まとめ】
インタビューで話題に出たように、介護や終末期の療養について家族で話し合ったり、支援機関に相談したりすることにハードルを感じる人は多いよう。厚生労働省の調査でも、「家族などの病気や死」「自分の病気」といった大きなきっかけがなければ、「家族や医療・介護関係者らと医療や療養に関して話し合う機会を持てない」と考える人が大半を占めると明らかになっています。また介護に関心を持っていても、求めている情報にアクセスできていないと話す人がいたのも見逃せないポイントです。
医療の入り口であるクリニックには、介護を早期に意識するきっかけを与える役割や、通り一遍ではない、患者と家族の目線に立った情報を発信する役割が、今後ますます期待されると考えられます。(クリニック未来ラボ編集部)