患者のホンネ大調査!患者がクリニックでストレスを感じる原因とは?【後編】

患者がクリニックでストレスを感じる原因

「患者のホンネ大調査!患者がクリニック選びで見るポイントとは?【前編】」の記事では、医療ポータルサイト「ドクターズ・ファイル」による「患者のクリニック選びに関する調査」(※1)の結果から、患者が何を重視してクリニックを探しているのかを検証していきました。

その結果、多くの人が複数のクリニックを比較・検討する中で、「通いやすさ」だけではなく、「ドクターに関する情報」も事前にリサーチして足を運ぶクリニックを決めているということがわかりました。

「この先生に診てほしい」。そんな思いでクリニックを訪れた患者は、不安や悩みを解消してくれるドクターとの出会いに期待をしています。けれど、事前情報では「自分にぴったり」だと思っていたクリニックなのに、実際に訪れると、「実はそうでもないかも」と感じる瞬間がままあるようです。

後編の本記事では、患者が実際に院内でストレスを感じるのはどんなことなのか、じっくり検証していきましょう。

【記事公開日:2023/4/3|最終更新日:2025/9/25】

半数以上の患者が来院時に「ストレスを感じた経験がある」

来院時にストレスを感じた経験がある

まずは、患者が来院時にどれほどストレスを感じているのかを見てみましょう。

「よくある」と「まあある」とを合わせると、57.9%もの人がクリニックや病院を訪れた際に、なんらかのストレスを感じたことがあるという結果に。

しかも、女性のほうがより「ある」と答えた人の割合が多く、年齢が高くなるほどその割合は増加する傾向がみられます。50代女性では62.8%の人が「ある」との回答で、全体の統計と比すると10%以上も高い割合を示します。

だからといって、「女性のほうが細かいから」と決めつけるのは早計です。子どものためにクリニックへ通う回数が男性よりも多いこともあり、クリニックの設備や対応に良くも悪くも目が行きやすいということもあります。その分、経験値として「ここがちょっと不便だな」「もう少し丁寧な案内がほしいな」と思うことも増えるのではないかと推測できます。

いずれにしても、半数以上の人が、なんらかの「ストレス」を感じた経験があるということ。もしかしたら、ドクター自身ではなかなか気づけないところに、思わぬストレスの理由が潜んでいるかもしれません。

待合室で過ごす時間にストレスは生まれやすく、環境の見直しも必要

待合室で過ごす時間にストレスは生まれやすい

続いて、院内のどの場面でストレスが生まれやすいのかを探ります。

最も多かったのは、「ソファ・椅子などの設備が十分でない/衛生的でない」(25.2%)という回答でした。設備にこだわった人気のクリニックでも、盲点になりやすいのが待合室です。

人気ゆえに待合室の混雑が常態化し、患者がゆとりを持って座る椅子やソファを確保するのが難しいという側面が見えてきます。この場合、むやみに座席数を増やすよりも、予約システムの効率的な運用など、別の角度からの工夫が求められるでしょう。

また、「入り口でのスリッパの履き替え」(24.5%)も、コロナ禍を経て衛生管理が当たり前になった昨今では、あらためてケアが必要な場面かもしれません。

患者にとって待合室は、過ごす時間が長くなりがちな分、どうしても細かな点が気になりやすい場所でもあると言えます。

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待合室や受付で感じるストレスのトップは、やはり「待ち時間」の長さ

「待ち時間」の長さ

さらに、患者が待合室や受付でストレスを感じやすいポイントを詳しく見てみましょう。

もしかしたら、クリニックに感じるストレスの第一関門はここに集約されるのではないかと思えるほど、ダントツで「待ち時間の長さ」が1位でした。55.1%と半数以上がストレスを感じた経験を持ちます。

ちなみに古いデータではありますが、2014年に医療ポータルサイト「ドクターズ・ファイル」が実施した調査(※2)では、初めて訪れたクリニックの場合、41.7%の人が「20分」を過ぎるとストレスを感じると回答。「30分」では78.1%まで増加しています。

もし今、患者を20分以上待たせるのが当たり前になっているとしたら、クリニックの事情に応じて対応策の検討をお勧めします。同じ20分でも、座り心地の悪い椅子に座って知らない人と近距離で待つのと、ゆったりとしたソファでくつろいで待つのとでは、患者の感じ方も大きく変わってきます。

「はっ」としたドクターは、いま一度、待合室の環境を見直してみるのも良いかもしれません。椅子の座り心地、他の人との距離感、テレビの置き位置や角度など、些細な変化でも患者の気分は大きく変わります。

また、予約システムを導入も有効です。コロナ禍をきっかけに、待合室の混雑を避けるため、受診時間帯の目安を患者自身が把握できる「時間予約制」を取り入れるクリニックが増えました。

加えて、どうしても待ち時間が避けられない場面では、その時間を「苦痛なもの」にしないためのスタッフの声かけも重要です。

例えば受付で、これから何分くらい待つことになりそうか目安を伝えたり、「今日は少しお待ちいただくことになりそうです」といった思いやりの言葉をかけたりするだけでも、患者のストレスはかなり軽減できるはずです。

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7割以上の人が医師に「聞きたいことを十分に聞けない」経験を持つ

聞きたいことを十分に聞けないことがある

次に、診療中のドクターとのコミュニケーションについて、患者がどう感じているかを確認していきます。なんと、70.8%の人が、「聞きたいことを十分に聞けない」という経験があるという結果に。

「クリニック選びで患者が重視するポイントとは?|患者のホンネ大調査!【前編】」の記事では「悩みや不安をしっかり聞いてくれるドクター」の存在を求める患者が多いというデータを紹介しましたが、やはりその裏には「十分に聞いてもらえていない」というストレスがあったということです。

こちらもやはり、女性のほうがより高いポイントを示し、特に30代女性では、79.6%もの人が「聞けないことがある」と回答。おそらくは妊娠から子育てというライフイベントを経験する世代でもあり、より不安に思うことが増える年代であることも、その一因であると考えられます。

診療時のストレスの上位4項目が「医師とのコミュニケーション」に関するもの

どんなことがストレスにつながっている

では、「ドクターとのコミュニケーション」だけでなく、患者が診療時に感じるストレスにはどんなものなのでしょうか。さらに詳しく調査結果を見ていきましょう。

診療時に感じるストレスについては、なんと上位4項目が、すべてドクターとのコミュニケーションに関するものでした。いかに、患者がドクターとの会話を重要視しているかが、このアンケートだけでも明確に理解していただけることでしょう。

もちろん「どの患者さんにもしっかり説明している」「話に耳を傾けている」というドクターも多いと思います。しかし、その説明は果たして病気に対する知識を持たない患者に届いているでしょうか。

また、「丁寧な説明」は時に「一方的な説明」となってしまうこともあります。患者に話す隙を与えない説明は、「質問がしづらい」という患者のストレスと紙一重となる可能性があるのです。

多くの患者を診るドクターにとって、それぞれに説明をするのは非常に手間のかかることかもしれません。

もしその時間を十分に取れない場合は、よくある質問や多くの人に当てはまるアドバイスなどは、あらかじめプリントに落とし込むなどの対策も有効です。その上で、さらに質問や悩みがあれば話してもらう、そんな診療の流れを意識してみてはいかがでしょうか。

【まとめ】患者目線でストレスを感じさせないクリニックをめざして

この記事では、病院やクリニックで患者のストレスはどんなところで生まれるのか、さまざまな場面に分けて調査、考察してみました。

そもそも体調不良や疾患への不安を抱えて訪れる患者は、平常時よりもかなりストレスに対して敏感です。たとえばいつもなら30分待つくらいのことは平気だとしても、具合の悪いときは10分でも多大なストレスを感じるものです。

ドクターとのコミュニケーションも同様で、それほどシリアスではない患者なら、「大丈夫ですよ」の一言で問題ない場合もあります。

けれど、特に初診で訪れる患者は、「この症状は何か大きな病気につながっているのではないか」「先生にこの不安がちゃんと伝わっているだろうか」と、ナーバスになっていることが多い分、コミュニケーション不足がクリニックへの不満につながる可能性も高くなります。

いま一度、そうした患者の目線に立ってクリニックを見直してみると、これまで気づかなかった改善点を発見できるかもしれません。

「スタッフ不足で手が回らない」という悩みを抱えるドクターも多いかもしれませんが、院内での待ち時間に患者が快適に過ごせるような工夫や、あるいは、スタッフやドクターの言葉遣いや挨拶などは、すぐに改善しやすいことでもあります。

前編で触れた患者に安心してもらうための情報発信とあわせ、院内の工夫を積み重ねることが、今後のクリニック経営には欠かせないポイントと言えるでしょう。

※1 ドクターズ・ファイルによる「患者のクリニック選びに関する調査」。対象は、全国主要都市に住む、もしくは勤務する20~59歳の男女4000人。2020年7月にインターネット調査にて実施。
※2 ドクターズ・ファイルによる調査。対象は、首都圏に住む男女450人。2014年にインターネット調査にて実施。

<執筆者プロフィール>
スギウラ ミエ
ライター。愛知県生まれ。求人系情報誌の編集部に在籍し、多くの文化人、タレントへのインタビューを担当。その後独立し、ビジネス系ウェブメディアなどでインタビュー記事を多数手がけている。医療分野でも活躍し、『頼れるドクター』では長年表紙の制作などに携わり、『患者ニーズ研究所』でも冊子創刊号から記事を執筆。

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