クリニックの印象を良くする「受付スタッフの対応」とは?

クリニックの受付スタッフ

クリニックにおいて受付スタッフの存在は重要です。患者と接する時間が長い分、「受付スタッフの印象=クリニックの印象」となることも少なくありません。

では、患者が“通いたくなる”受付スタッフの対応とはどのようなものなのでしょうか。

本稿では、患者を対象にしたアンケート調査をもとに、受付スタッフに対するリアルな感情をひもときつつ、実際のエピソードから具体的に患者に喜ばれる受付スタッフの対応を検証していきます。

【記事公開日:2023/8/4|最終更新日:2026/1/27】

ドクターズ・ファイル クリニコ

患者は“些細な対応”にも敏感になりやすい

クリニックや病院を訪れる患者は、健康に不安を抱えていたり、今まさに体調が悪かったり、そもそも気分的にポジティブではなかったりすることがほとんどです。受診の際は、ちょっとした対応にも敏感になりやすい傾向があります。

そんな状態だと、普段はやり過ごせるような些細なことでも、気になってしまう、あるいはそれをきっかけに、「もうこのクリニックには行きたくない」とまで思ってしまう患者もいるでしょう。中にはその「嫌な思いをした記憶」を、少し大げさに知人や友人に語る人もいるかもしれません。

受付スタッフの対応が、クリニックの印象を大きく左右する

患者がクリニックを訪れて最初に会話を交わすのは受付スタッフであり、最も長い時間を過ごすのも、多くの場合は受付近くにある待合室です。

ということは、受付スタッフとのコミュニケーションが、クリニックの印象を大きく左右するものであるといえるでしょう。何かと待ち時間が長くなりがちなクリニックであればなおさら、受付スタッフのちょっとした対応が患者から厳しく評価されがちです。

しかし、何も患者は受付スタッフのマイナスポイントばかりに注目しているわけではありません。心身ともに弱っているときこそ、何気ない気遣いや温かい言葉が、いつにも増して心を打つものです。スタッフの気の利いた対応や笑顔もまた、患者の記憶に残るものなのです。

いわば、受付スタッフはクリニックの顔であり、診察室に向かう患者を和ませることもできれば、逆にイライラさせることもできるのです。いくらドクターの治療方針や技術を気に入っていたとしても、患者がスタッフの対応にマイナス感情を抱いてしまうと、そのクリニックをかかりつけにしようとは思わないでしょう。

あわせて読みたい

待ち時間が長くなるほど、スタッフの対応に目が行きやすい

では、患者が受付での対応に抱くマイナス感情とは具体的にどのようなものなのでしょうか。

医療ポータルサイト「ドクターズ・ファイル」が行った患者のアンケート調査(※1)によると、患者がクリニック選びで重視するポイントは、診てもらいたい時間に開いているかなどの時間的条件、家や職場から通いやすいかなどの物理的条件、治療方針や技術などドクターに関する情報が上位に上がりました。

注目すべきは、その一方で28.9%もの人が「看護師や受付など、スタッフに関する情報を重視する」と答えている点です。

クリニック選びのポイント

つまり患者は、インターネット検索で条件に合ったクリニックを見つけ、そのクリニックのドクターに関する情報を参考にしながら、実際に足を運んでいることがわかります。

そこで受付スタッフの対応が良ければ、「やはり良いクリニックだ」と安心するでしょうし、逆に不満を感じれば、「期待はずれだった」というマイナスの評価につながるのではないでしょうか。

この受付でのマイナス評価を覆すほどドクターの治療や人柄がすばらしいと感じれば、「少し不満はあるが、ここをかかりつけにしよう!」となるかもしれませんが、一度感じてしまったマイナスイメージを払拭するのはなかなか難しいでしょう。

患者はスタッフの何気ない表情や言葉遣いを見ている

さらに、待合室で感じるストレスの内容を調査したところ、「待ち時間の長さ」と「受付スタッフの対応」が上位にランクインしました。

受付や待合室のストレス

もちろん、「待ち時間の長さ」が一番のストレス要因ですが、完全時間予約制でない限り、ある程度の待ち時間は患者も想定しているはずです。それでも待ち時間をストレスに感じてしまうのは、受付スタッフの対応の良し悪しが大きく関係しているといえます。

例えば同じ待ち時間でも、スタッフから「お待たせして申し訳ございません」と一言声をかけられた場合と、何のアナウンスもなく待たされた場合とではまったく印象が変わります。患者はスタッフの表情や言葉遣いまで、予想以上に細かく見ているものです。

受付での何気ない声かけひとつで、患者のイライラを軽減することができるといえるでしょう。

あわせて読みたい

受付スタッフの温かい一言が、患者のストレスを軽減させる

それでは、患者に喜ばれるスタッフ対応とはどのようなものなのでしょうか。ここからは、患者が実際に体験したエピソードを通して、具体的に喜ばれる受付スタッフの対応を検証していきましょう。

ドクターズ・ファイルが実施した受付スタッフの対応にまつわるアンケート調査(※2)では、良いエピソードも悪いエピソードも、さまざまな意見が寄せられました(下図参照)。それだけ、受付スタッフの対応が患者の印象に強く残っているということでしょう。

忙しさの中で悪意なくやっていたことが患者の不満につながることもあれば、何気ない声かけが満足度を上げることもあることが読み取れます。

患者が語る受付スタッフのリアル体験談

受付での良いエピソード
受付での悪いエピソード
あわせて読みたい

患者が受付スタッフに求めることの第1位は「笑顔」

次に、患者が受付スタッフに何を求めているのか、どんな対応をしてほしいと思っているのかを探ってみましょう。

「受付スタッフに求めること」を挙げてもらったところ、説明のわかりやすさや案内の正確さよりも、「笑顔」「気遣い・声かけの仕方」といった、人としての優しさや温かさを、より多くの人が求めていることがわかりました。

受付の笑顔や気遣い

体調を崩しているときこそ、何よりも人の温かさを求めるもの。正確さを優先した語り口ももちろん大切ですが、穏やかで優しい声かけに好印象を持たれやすいようです。

1位が「笑顔」なのは、スタッフの表情から受け取るイメージが、患者の心理に大きく作用しているということの表れかもしれません。

アンケート調査では「『お大事に』の一言でも、笑顔で言われるのと目も合わさずに言われるのとでは、まったく印象が違う。マニュアル的に言うだけなら、むしろ何も言わずにいてくれたほうがいい」という意見さえありました。

続く「気遣い・声かけの仕方」にしても、「スタッフが患者一人ひとりにきちんと向き合ってくれているか」を患者が重視している結果です。それに加え、「作業のスムーズさ・速さ」に関する工夫や努力が見て取れれば、受付の印象、つまりはクリニックの印象は格段に良いものになるでしょう。

スタッフの笑顔が患者の笑顔につながる

体調を崩したり、病気を抱えたりしてクリニックを訪れる患者は、不安や緊張を感じて、普段よりも神経質になっています。

そんなとき、意識的に笑顔や気遣い・声かけなどができる受付スタッフのいるクリニックであれば、患者のストレスが軽減され、「信頼できそうなクリニックだな」と親しみを持ってもらえるはずです。

そうなるためには、受付スタッフが「クリニックのイメージを代表している」という自覚を持っていることが重要です。その意識を持つだけでも、患者への対応は大きく変わります。受付スタッフだけではなく、クリニック全体で、同じ意識を共有することも大切です。

そして、スタッフの意識を変えていくためには、日頃よりドクターからスタッフに積極的にコミュニケーションを取り、笑顔や気遣いなど、心地良い受付対応について周知していくことが欠かせません。

スタッフの対応力を高めるには、院内の情報共有が鍵

とはいえ忙しさのあまり、スタッフと対面でのコミュニケーションが十分に取れていないと感じているドクターも少なくないでしょう。そこで役立つのが、ドクターズ・ファイルが提供するクリニック専用の院内コミュニケーションツール「メディパシー」です。

メディパシーの機能の一つに「チャット」があり、それを使うことでドクターと受付スタッフの空いている時間が合わなくても、自分の都合で伝えたいことを即時に発信できます。

院内のコミュニケーションが活性化することで、スタッフ一人ひとりに「クリニックを代表している」という自覚が芽生え、受付対応力の向上が期待できるでしょう。

小さな声かけや気遣いが自然と生まれ、それが患者の安心感につながります。その結果、働くスタッフの笑顔が増え、患者の笑顔にもつながるのです。(クリニック未来ラボ編集部)

<執筆者プロフィール>
クリニック未来ラボ編集部
クリニック未来ラボは、開業医、開業をめざす勤務医・医学生に向けたクリニック経営支援メディアです。独自の視線で調査・研究し、より良い医院経営に役立つ情報として発信。「開業医白書」をはじめ、診療報酬改定や医師の働き方改革、医療従事者の転職動向など、医院経営に関する調査レポートも公開しています。

※1 ドクターズ・ファイルによる「患者のクリニック選びに関する調査」。対象は、全国主要都市に住む、もしくは勤務する20~59歳の男女4000人。2020年7月にインターネット調査にて実施。
※2 ドクターズ・ファイルによる「病院・クリニックでの『受付スタッフさんエピソード』」アンケート調査。対象は通院頻度の高い20~40代の男女60名。2015年にインターネット調査にて実施。

関連記事

クリニックの集患に効果がある施策10選!オンライン・オフライン別に紹介【2025年最新版】
医療接遇で「言葉遣い」が大切な理由と明日から実践できる改善方法を紹介
愛されるクリニックを作る5つの医療接遇チェックリスト
患者やスタッフの「大丈夫です」、本当に大丈夫?《役に立つ!コミュニケーションのコツ》
指導がパワハラと誤解されないための「信頼残高」の増やし方《役に立つ!コミュニケーションのコツ》
クリニックでの電話クレーム対応のOK・NGポイント《役に立つ!コミュニケーションのコツ》
「院長先生」「歯科衛生士の佐藤さん」よりも適切な呼び方とは?《役に立つ!コミュニケーションのコツ》
クリニックの理念を「絵に描いた餅」にしないための解決策《役に立つ!コミュニケーションのコツ》
治療中の患者は何を聞き、何を考えている?《役に立つ!コミュニケーションのコツ》
「このクリニックをかかりつけにしたい」と思わせる会話展開の極意《役に立つ!コミュニケーションのコツ》
スタッフのメイクを注意しづらい!そんな時の解決策3選《役に立つ!コミュニケーションのコツ》
病院・クリニックのクレーム原因と対策|再発を防ぐ仕組みづくりを専門家が解説
病院・クリニックのクレーム初期対応のポイント|火種を大きくしない実践ステップ
クリニックが実施する受付・スタッフ力UPのための5つの工夫