【メディカルウェア編】患者への思いと医院の魅力を伝えるユニフォーム《こんなところにも注力!クリニックの強みZOOM UP》

クリニックのメディカルウェア

地域に支持されるクリニックには、 医療サービス以外にもプラスアルファの強みがあるもの。当コーナーでは、そんな強みを持つクリニックを訪ね、より良い魅力づくりのヒントを探ります。

今回のテーマは、「メディカルウェア」。東京都中央区にある『mammaria tsukiji』を訪ねました。

■教えてくれた先生

mammaria tsukiji
尹 玲花(いん・れいか) 院長

2005年愛媛大学医学部卒業。聖路加国際病院乳腺外科での10年間の診療経験を経て2017年開業。「女性に寄り添う」ことをキーワードに、精密な乳房検査や乳がんの術後フォローなど高度な医療を利便性の高いクリニックで提供することをめざす。

見た目の美しさ、着やすさを重視したウェアで、クリニックの魅力を表現

白衣に代表されるメディカルウェアですが、昨今は、機能性やデザイン性も多種多様。患者にとっては、内装やインテリアと同じように、クリニックの印象を決める大きな要素となっています。

乳腺外科専門クリニック『mammaria tsukiji』で、医師やスタッフが着用するメディカルウェアは、ひときわファッショナブルな印象があります。尹玲花院長は、気持ちが沈みがちな患者が少しでも晴れやかな気分で過ごせるようにと、院内の雰囲気づくりに工夫を凝らし、メディカルウェアも景観の一つと考えてデザイン性を重視して選んだそうです。「クリニック全体のイメージと、チームとしての統一感を大切にしながら、女性がかわいい、すてきと感じるニュアンスのあるデザインを選びました」

スクラブやケーシーは、友人の女性医師が監修するブランド「M-dressed」。ドクターコートは、尹院長自身も開発に加わった「住商モンブラン」のもので、女性らしくかつスタイリッシュなデザインでありながら、上質な生地や7分丈の袖など、女性医師目線の機能性が特徴的です。

ファッションにはあまり興味がなかった尹院長ですが、開業を機にメディカルウェアにこだわるようになったといいます。「患者さんの検査着も、もっとすてきなものがないかと探しているところです」

その言葉からは、患者の不安や緊張感を少しでも軽くして、前向きな気持ちになってもらいたいという強い思いが伝わってきます。

ウェアに院長から患者、スタッフへのメッセージを込めて

メディカルウェアには、医師やスタッフの仕事着としての快適性や機能性、そして、仕事へのモチベーションを高める要素も必要だと話す尹院長。

「他ではあまり見かけない、特別感のあるおしゃれなウェアを着ることで、私自身を含めて、みんなの気持ちを上げることが大切だと考えています」

ただし、スタッフ全員に押しつけることはせず、年齢や体型に合わせて柔軟に対応することもあるそうです。またアクティブな印象を守るため、冬季にもカーディガンは使用せず、下に長袖Tシャツを着て温度調節をしています。

課題としては、現在、採用しているブランドはオリジナリティーが高い分、サイズ展開や供給体制に制約がありコストもかかるため、イメージはそのままに、より幅広く対応できるようなブランドへの刷新も考えているそうです。

見た目の美しさ、着やすさ、働きやすさを重視して、女性目線で選んだウェア。患者も医師もスタッフも女性という同院でのウェア選びは、少し独特なものかもしれません。しかし、院長の思いやクリニックの方向性をソフトに伝えるアイテムとして、メディカルウェアを活用することは比較的たやすいといえるでしょう。

患者には優しく、信頼感を育めるように。着る人、働く人には快適に、仕事のパフォーマンスが上がるように。次にメディカルウェアを選ぶときには、そんな視点でスタッフと一緒に探してみてはいかがでしょうか。

『mammaria tsukiji』がこだわっている「メディカルウェア」6つのポイント

ここからは、同院がメディカルウェアに関して「こだわっている6つのポイント」をピックアップ。具体的にどのような取り組みをしているのか、見ていきましょう。

(1)ウェアは内装に映える差し色でそろえる

スタッフのウェアは色違いで、グレーを基調とした内装に映えるピンク、白、紺を職種別に展開しています。クリニックの顔となる受付スタッフのクラシカルなケーシーには、同院のポイントカラーで、乳がん診療を象徴するピンクを採用。ウェアに統一感があり、落ち着いた内装に美しく上品に映えます。写真は左から、臨床放射線技師の小見戸さん、杉山先生、尹院長、看護師の吉原さん、受付の佐藤さん。

スタッフのウェアは内装に映える差し色

(2)患者の不安や緊張感をほぐすデザイン性

ファッショナブルで統一感のあるウェアをセレクト。女性患者が安心やくつろぎを感じられるよう、ホテルやサロンのような上質な空間を意識して内装やインテリアにこだわるのと同様に、不安や緊張感をほぐすかわいさやおしゃれ感を重視しています。

(3)ヘアメイクや着替えやすさに配慮

医師のスクラブやスタッフのケーシーは、後ろ開きで、ファスナーが大きく開く仕様のため、脚から履くように着ることができて着替えが楽な上に、時間短縮にもつながります。頭からかぶらないので、ヘアメイクが崩れず、襟回りへの化粧移りも防止できます。

後ろ開きのケーシー

(4)ペプラムデザインでおしゃれに体型をカバー

スタッフのウェアは、ウエストが程良くシェイプし裾に向かってふわっと広がるペプラムデザイン。写真のような、2枚重ねも選べるようにしています。フェミニンでありつつ体型カバーができ、「かわいい」「オリジナルですか」と患者に声をかけられることもあるそう。

ペプラムデザイン

(5)洗濯して干すだけなので扱いが簡単

ウェアは着心地が良いだけでなく、軽くて丈夫な扱いやすいポリエステル100%などの素材のものを採用しています。院内の洗濯機で洗濯して干すだけで、型崩れもなくしわになりにくく、アイロンも不要。洗い替え用として各自2〜3枚所有しています。

素材にもこだわったウェア

(6)働く人の気分を上げる工夫のある仕事着

長時間着ていても快適な着心地、診察に必要な小物を入れるポケットなど、仕事着として機能性は大前提です。その上で、顔映りの良い襟のラインや、首回りの裏地にさりげなく施されたドット模様など、働く人の気持ちを高める工夫も。

ウェアは機能性にもこだわる

     ◇    ◇    ◇

以上、メディカルウェアに関して「こだわっている6つのポイント」を紹介しました。

患者にとって気持ちが沈みがちな通院が、少しでも晴れやかな気分になるように。またスタッフに対しては、機能的かつおしゃれなデザインで、毎日、モチベーション高く働けるように。そんな尹院長の思いが込められた魅力的なウェア。クリニックのイメージやコンセプトを印象付ける材料の一つとして、大事な役割を果たしていることがわかります。ぜひメディカルウェアを買い足す際のユニフォーム選びのヒントにしてみてください。(クリニック未来ラボ編集部)

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