病院・クリニックにおける集客(集患)とは
病院・クリニックにおける集客(集患)とは、新規患者を効果的に集めて、継続的に診療を受けてもらう(リピート)ための取り組みを指します。集客を成功させるためには、まず自院の認知度を高めて来院につなげることが必要です。医療の質が高いだけでは集客は難しく、適切なマーケティングや患者との信頼関係の構築に取り組まなければなりません。
詳しくは後述しますが、具体的な方法として、ホームページやSNSなどを活用する「オンラインマーケティング」と、看板やチラシなどを活用する「オフラインマーケティング」があります。これらの手法を適切に活用し、患者のニーズに応えることが、選ばれる病院・クリニックをめざす上で必要です。
病院・クリニックの集客(集患)の重要性とは
病院・クリニックにおける集客(集患)とは、ビジネスでのいわば「収益の確保」です。患者に安心して診療を受けてもらうためには、継続的な経営が不可欠です。そのためには、安定した収益を得られる環境づくりが必要です。経営は患者がいないと成り立ないため、新規患者の確保とリピート率の向上が重要になります。
また、集客によって得た収益で、新しい医療機器の導入や人員の補強などを行い、医療機関が成長できれば、医療サービスの質や働きやすさは向上し、医療機関の評価を内外から高めるのにも効果的です。このように、病院・クリニックの集客(集患)は、安定した経営と成長に大切な要素といえます。
病院・クリニックの集客(集患)が成功しない7つの原因
病院・クリニックの安定経営には集客(集患)が非常に重要ですが、簡単に成功できるわけではありません。成功しない要因として主に考えられるのは、以下の7つです。
- 病院・クリニックの認知度が低い
- 他院との差別化を図れていない
- 病院・クリニックの口コミ評価が低い
- ポータルサイトを活用していない
- Web予約システムを導入していない
- 経営スキルが不足している
- 集客(集患)しづらい立地で病院・クリニックを開業している
これらを理解した上で、集客の施策を打っていくことが大切です。次でそれぞれの原因を詳しく解説します。
(1)病院・クリニックの認知度が低い
病院・クリニックの集客(集患)は、認知度が非常に重要です。認知度が低いと、いくら医師が医療技術に優れていても患者が来院する可能性は下がってしまいます。認知度を高めるためには、患者層や目的に応じて、看板の設置やチラシの配布のほか、ホームページやSNS、ポータルサイトを活用した宣伝活動が必要です。これらの施策に取り組まない場合、認知度を高めることは難しく、集客につながりにくくなります。
(2)他院との差別化を図れていない
集客(集患)の成功のためには、他院との差別化を図る必要があります。差別化とは、他院にはない独自のサービスを提供し、患者に特別感を与えることです。具体的には、以下のような方法が考えられます。
- 希少性や専門性の高い医療の提供
- 自由診療の診療費の安さやモニタープログラムの実施(美容クリニックなどの場合)
- Web予約システムの導入によるスムーズな診療(待ち時間の削減)
- 居心地の良い待合室や診療室
- 通院までのアクセス、立地の良さ
病院・クリニック選びで迷った際、誰もが少しでも自身のニーズに近いほうに通いたいものです。そのため、こうした差別化を行わなければ、特に同じ診療科の競合クリニックが集中するエリアでは患者から選ばれる可能性が低くなります。
また近年、患者の多くは病院・クリニックを選ぶ際の情報源として、ホームページやポータルサイトなどインターネットの情報を参考に比較検討する傾向にあるため、差別化に向けた取り組みは積極的に発信していくことが必要です。ツールに応じて写真や動画も活用し、自院の強みや特色をわかりやすく伝えましょう。
(3)病院・クリニックの口コミ評価が低い
患者は、SNSや地図検索サービスのGoogleマップ、口コミサイトなどの口コミをもとに病院・クリニックを選ぶ傾向があります。口コミは、患者にとって診療内容や雰囲気、治療費など通院に関わる幅広い情報を入手できる重要なツールです。
口コミの数が少なかったり、評価の低い口コミが多かったりする病院・クリニックは、選択肢から外される可能性を高めてしまいます。必ずしも口コミの情報が正しいとは限りませんが、患者に与える影響は大きいため、できるだけ口コミで良い評価を得られるよう、日々の診療や接遇マナーに気を配り、満足度を高める努力が求められます。患者の声に真摯に向き合い、誠実な対応によって信頼関係を築ければ、高評価の口コミを増やすことができるでしょう。
(4)ポータルサイトを活用していない
医療系ポータルサイトは、病院・クリニック選びに多くの患者が活用しているウェブサイトです。大手のポータルサイトの多くはSEO(検索エンジン最適化)に強いため、GoogleやYahoo!などの主要な検索エンジンで上位表示されやすく、自院のホームページへの新規患者の流入や認知度の向上に期待できます。
ポータルサイトを活用しない場合、活用している病院・クリニックと比べると患者に自院を知ってもらう機会を失い、集客(集患)に差が出る可能性があります。
(5)Web予約システムを導入していない
Web予約システムを導入していないクリニックは、導入しているところと比べると、集客(集患)に影響を及ぼす可能性があります。Web予約システムに慣れている患者にとっては、Web予約システムがないと、受付から診療までの時間が長く感じられ、待ち時間や混雑にストレスをためやすくなります。
特に「対面や電話での予約が面倒」「忙しくて時間を作るのが難しい」と考える患者は、手軽に予約できるクリニックを選ぶのが特徴です。Web予約システムを導入することで、待ち時間の短縮や患者の負担が軽減されるだけでなく、集客自体が期待できます。
(6)経営スキルが不足している
クリニックの医師は単なる診療だけでなく、経営者としてのスキルも必要です。経営スキルが不足していると、患者のニーズに応じたサービス改善や効果的なマーケティング戦略が立てられず、集客(集患)に失敗する可能性を高めてしまいます。
資金調達、マーケティング、スタッフのマネジメントなど、これらの経営スキルが不足していると間違った経営判断を続けることになり、無駄な経費の増加やサービス品質の低下を招きかねません。その結果、患者からの評価は下がり、新規患者およびリピート率の低下を引き起こしてしまいます。
(7)集客(集患)しづらい立地で病院・クリニックを開業している
患者が病院・クリニックを選ぶ際、自宅や職場からのアクセスの良さは重要な選択基準です。立地や交通の便が悪い場合、移動に時間や費用がかかることから、患者は来院をためらう傾向にあります。
また、自院の診療科目に適さないエリアでの開業も、集客(集患)に苦戦する場合があります。例えば、美容クリニックを幼児や高齢者が多い地域に開業しても、対象とする20~30代の患者を集めることは困難でしょう。このように、集客には立地が非常に重要です。
病院・クリニックの集客(集患)を行う前に確認すべきこと
病院やクリニックの集客(集患)を成功させるには、いくつかの重要な項目を事前に確認することが大切です。ここでは、集客を始める前に確認しておくべきポイントを紹介します。
(1)受付窓口と看護師の連携および対応に問題はないか
病院・クリニックは、患者にとって安心できる環境でなければなりません。その一つが、医療機関の印象を左右する、受付や看護師の対応です。昨今の医療現場では「医療接遇」が重視されており、医療接遇が行き届いていなければ、患者からの信頼を得ることが難しくなります。
以下は、医療従事者が身につけたい医療接遇における基本の5原則です。
- 表情
- あいさつ
- 言葉遣い
- 身だしなみ
- 態度
医療接遇とは、不安や痛みを抱える患者の気持ちを理解し、安心感を与える応対を指します。患者は一人ひとり異なるため、それぞれの立場に寄り添った丁寧な対応をすることで、不安を軽減し、医療機関の信頼性の向上に寄与します。
また、受付窓口と看護師の連携も非常に重要です。スムーズな連携は互いの意志疎通を円滑にし、業務効率がアップします。これにより、患者にとってより快適で安心できる診療環境を整えることができます。
(2)院内設備や内装は衛生的か
衛生面が重視される病院・クリニックにとって、院内の清潔さは非常に重要です。汚れた壁紙、埃のたまった床、破れた雑誌などは、患者に不快感を与え、印象を悪くしてしまいます。こうした環境では患者がリラックスできず、診療への信頼も失いかねません。患者に心地良く来院してもらうためにも、定期的な清掃やメンテナンスを行い、常に快適な環境を保つことが必要です。
(3)患者に対して十分な説明を行う体制が整備されているか
近年、医療業界では「インフォームド・コンセント」が重視されています。ご存じの通り、インフォームド・コンセントとは、治療を受ける前に医師や看護師から治療法や病状に関する説明を受け、患者が納得した上で治療を進めることを指します。
このプロセスがしっかり整備されていることは、患者が安心して治療を受けるために欠かせません。患者が理解しやすい言葉で説明を行い、質問に対して丁寧に答える体制を整えることで、治療に対する信頼感が高まり、患者の満足度も向上します。また、十分な説明があることは、治療に対する不安を軽減し、患者が積極的に治療に取り組む姿勢を促進します。
(4)病院・クリニックのホームページやSNSを開設しているか
ホームページやSNSの活用は、ネット社会の現代において集客(集患)に最も効果的な方法です。ホームページやSNSは、患者に病院・クリニックの情報を提供するためのツールであり、診療内容や医療機関からのお知らせ、予約状況などを迅速に伝える役割を果たします。
これらを行っていない場合、患者に情報を届けることが難しくなり、医療機関を選ぶ際の選択肢から外されかねません。開業と同時にホームページやSNSを開設し、自院の魅力や特徴を積極的に発信することが集客には重要です。
・クリニックの集患につながる!ホームページ運用のヒント【患者の声から探る】
・クリニックのホームページ運用担当者が覚えておきたいキーワード8選
(5)クリニックの院長が経営スキルを身につけているか
上述したように、クリニックの院長は、医療技術だけでなく経営スキルが求められます。必要な経営スキルを身につけていないと、無駄な経費が増加し、安定した収益を確保することが思い通りに行かなくなります。そうした状況では、院内のスムーズな連携や清潔な院内設備の維持などがうまくいかず、スタッフのモチベーションの低下を招くだけでなく、患者との信頼関係を築くことが難しくなってしまいます。
さらに、院長の経営スキルが不足していると、例えば電子カルテやWeb予約システムといったITツールの導入など、診療の質や患者対応の向上に役立つ投資を計画的に行うことができず、結果として患者満足度や集客(集患)にも悪影響を及ぼしかねません。院長が経営の基礎知識や戦略的な考え方を持つことは、医院全体の運営を円滑にし、長期的な成功につながります。
病院・クリニックの効果的な集客(集患)方法7選
病院やクリニックの集客(集患)には、効果的な方法がいくつかあります。患者に自院の情報を届け、関心を引くためには、オンラインとオフラインの両方で戦略を立てることが重要です。
ここでは、集客を成功させるための7つの方法を紹介します。それぞれの方法を活用して、より多くの患者に自院の認知度を高め、集客につなげてみてください。
(1)SEO対策をしたホームページを開設する
SEO対策を施したホームページの開設は、病院やクリニックの集客(集患)に重要です。SEO(検索エンジン最適化)とは、Googleなどの検索エンジンでサイトを上位に表示させるための施策です。これにより、患者が自院の情報を見つけやすくなり、アクセスの増加が期待できます。地名や駅名、診療科名などの適切なキーワードを使い、質の高いコンテンツを提供することで、集客につながります。
(2)ブログやSNSで宣伝をする
ブログやSNSによる積極的な情報発信は、自院の認知度を高め、集客(集患)の方法として有用です。ブログでは長めの文章で、医師やスタッフの医療に対する考え方や思い、日々の出来事などを伝えて信頼感や親近感を増すことができるため、患者とのつながりを築きやすくなります。
また、SNSでは短い文章で写真や動画を使って視覚的にアピールすることが可能です。院内やスタッフの様子、治療情報などを投稿して興味を引くことができるため、新規患者の不安を軽減し、集客に期待ができます。
(3)Googleビジネスプロフィールに登録する
近年は、地図サービスのGoogleマップを使って、患者が近隣でお勧めの病院・クリニックを検索するケースが増えています。病院・クリニックがGoogleマップを利用するためには、Googleビジネスプロフィールに登録する必要はありますが、Googleマップや検索結果に医療機関の所在地や営業時間、電話番号などの情報を上位表示させやすくなります。
さらに、MEO(マップエンジン最適化)対策として、適切なキーワードの設定、写真の投稿や口コミ機能を活用するなどし、プロフィール内の情報を充実させることで、より具体的な情報をユーザーに提供できます。病院・クリニックの信頼性を高めることにつながるため、集客(集患)に効果的です。
Googleビジネスプロフィールとは
Googleビジネスプロフィールとは、企業や店舗が無料で自社の情報を発信できるサービスです。住所や診療時間、写真を登録することはもちろん、口コミ機能を使うことも可能です。検索キーワードによっては上位表示されやすくなるため、医療機関への流入を増やすことに役立ちます。
(4)医療ポータルサイトに登録する
医療ポータルサイトは、患者が全国の病院やクリニックをまとめて検索できる便利なサービスです。これに登録することで、多くの患者に医療機関の情報を届けられるようになります。登録に際しては、診療科目や所在地、最寄り駅などの情報を正確に掲載し、患者がさまざまな条件で検索しやすい環境を整えることが大切です。
このとき、「ドクターズ・ファイル」や「ホスピタルズ・ファイル」のように写真で医師の顔がわかることに加え、医療広告ガイドラインを遵守したポータルサイトを活用すると、より医療機関に対する患者の信頼性を高めることにつながります。
(5)チラシをポスティングする
チラシのポスティングは、地域住民に直接アプローチできる効果的な集客(集患)方法です。新規開院やキャンペーンの案内、医療機関の強みや特徴などをアピールすることができます。
高齢者やインターネットをあまり利用しない人にも情報を案内できることに加え、エリアを限定して配布することで、地域の認知度を高める効果があります。さらには捨てられない限り、何度も読み返してもらえる点もメリットです。診療内容や営業時間、アクセス方法などをわかりやすく記載し、写真や地図を添えることで、地域全体での知名度向上が期待できるでしょう。
(6)LINEやメールマガジンを配信する
LINEやメールマガジンの配信は、患者に直接情報を届ける有効な手段です。メールマガジンはこれまでにも活用されてきたマーケティング手法で、医師やスタッフの医療に対する思いや、診療方針、医療や健康に関するお役立ち情報、日常の出来事、キャンペーン情報などの読み物を届けることができます。
一方でLINEは、近年、公式アカウントをマーケティングに取り入れるクリニックが増えています。その理由として、メールに比べてLINEの利用者が若者を中心に多く、開封率も高いことが挙げられます。とはいえ、いずれも患者に必要な情報を発信できるツールのため、2つを併用するか、自院の患者層に合ったほうを使用することをお勧めします。
(7)DMやクーポンを配布する
DM(ダイレクトメール)やクーポンの配布は、新規患者の獲得とリピート率の向上に効果的な手法です。DMは、一定期間来院していない患者に向けて情報を発信し、再来院を促すことに有用です。
またクーポンは、美容クリニックのような自由診療を中心とした治療を行うクリニックにとって特に有効です。例えば、モニター募集や割引サービスの配布によって、新規患者の獲得につながります。
病院・クリニックの集客(集患)に関する注意点
病院・クリニックが集客(集患)を行う場合、以下の2点に注意が必要です。
- 患者との信頼関係を築く
- 医療法における広告規制に気をつける
場合によっては、集客に苦戦するだけでなく、病院・クリニックが厳しい罰則を受けて患者からの信頼を失いかねません。そうならないよう、慎重に取り組むことが重要です。
(1)患者との信頼関係を築く
ホームページの開設やクーポンの配布など、さまざまな集客(集患)方法があります。しかしそれ以前に大切なのは、やはり患者との信頼関係を築くことです。どれだけ通院しやすい診療体制にしたり、お得なサービスを提供したりしても、患者の信頼を得られなければ、繰り返し来院してもらうことは困難となります。
患者の信頼は、医療機関の評価につながる重要なポイントです。不安や苦痛を抱える患者とその家族に寄り添い、丁寧で適切な治療を心がけることで、信頼を得られるはずです。
(2)医療法における広告規制に気をつける
病院やクリニックの集客(集患)には、厳しい医療広告規制が設けられています。その目的は、患者を保護し、適切な医療選択をサポートすることです。
厚生労働省の「医療広告ガイドライン」(※)では、医療広告に対する基本的な考え方を、①医療が人の生命や身体に関わるサービスであり、不当な広告により不適当なサービスを受けた場合の被害は、他の分野に比べて著しいこと、②医療は専門性が高く、一般人が広告内容から実際に受けられるサービスの質について事前に判断するのが難しいこととしており、虚偽広告や誇大広告、比較優良広告などの広告を禁止しています。
違反した場合には、開院許可の取り消しや一時的な閉鎖などの処罰を受ける可能性があります。処罰を受けると患者からの信頼が著しく低下するため、広告を出す際は医療広告ガイドラインを遵守することが必要です。
※出典:厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン) 令和6年9月13日最終改正」
病院・クリニックの集客(集患)を成功させる5つのポイント
ここでは、病院・クリニックの集客(集患)を成功させる5つのポイントを解説します。上記で紹介した具体的な集客施策とともに、これらのポイントを押さえて効果的な集客に取り組んでみてください。
(1)集客(集患)の目的を設定する
やみくもに集客(集患)をしても、求める患者を集めることはできません。何を目的に集客するかを明確にして、適切な施策に取り組むことが効果的な集客につながります。
例えば、地域密着型の病院・クリニックで近隣住民に足を運んでほしい場合は、チラシの配布、セミナーや勉強会、イベントの開催などが効果的です。一方で、遠く離れたエリアからも患者に足を運んでほしい場合は、ホームページやSNS、ポータルサイトなどネットを中心としたアプローチに注力すると良いでしょう。集客の目的を設定し、どの手段が最も効果的かを判断することで、無駄なく成果を上げることができます。
(2)オンライン集客(集患)とオフライン集客(集患)の両方を活用する
ホームページやSNSを利用したオンライン集客(集患)と、看板やチラシを使ったオフライン集客(集患)の両方を活用することは、集客戦略として非常に有効です。
上述したように、オンライン集客は広範囲に情報を届けられるため、多くの人にアプローチしやすいです。一方、オフライン集客は地域に密着した集客手法です。近隣住民に直接的にアプローチしやすく、認知度を高めるのに役立ちます。これらを効果的に組み合わせることで、より広範囲かつ対象を絞った集客が可能になります。
(3)地域の医療ニーズを把握する
これから開業する場合、地域住民がどのような医療サービスを求めているかを理解することが必要です。地域のニーズに適した診療科目や医療サービスを把握することで、より多くの患者に足を運んでもらうことができます。
例えば、高齢者が多い地域では、医師は予防医療や慢性疾患の管理が求められるため、それらに対応した診療体制を整えることがポイントです。地域の特性に合わせた医療サービスを提供することで、患者からの信頼性が向上し、長期的な集客(集患)にもつながります。
(4)開業前に診療圏調査を実施する
開業前に「診療圏調査」を実施することで、地域の医療ニーズや競合の状況を把握できます。
診療圏調査とは、地域の人口構成や医療機関の分布、1日当たりのおおよその患者数の見込みなどがわかる調査のことです。実施することで、どのエリアにどの診療科目が不足しているかが明確になり、適切なサービスを提供するための戦略を立てやすくなります。これにより、対象となる患者層を効果的に絞り込み、集客の成功につながります。
(5)スタッフに医療接遇の教育を行う
患者の多くは医療スタッフからの寄り添った対応を望んでおり、対応が丁寧な病院・クリニックは患者との信頼関係を築きやすい傾向にあります。そのためには、スタッフに医療接遇の教育を行い、コミュニケーション能力や対応スキルを向上させることが重要です。適切な教育を施すことで、患者の満足度が高まり、リピート率や口コミ評価の向上に寄与するでしょう。
まとめ
病院・クリニックが地域医療を支え続けるためには、効果的な集客(集患)が不可欠です。対策を施すことで、経営の安定化に加え、患者との信頼関係の構築を可能にし、新規患者の獲得およびリピーター率の向上が期待できます。
そのためには、オンライン・オフライン両方の施策を適切に取り入れて、集患アップをめざしましょう。ただし取り掛かる前には、あらかじめ失敗をしないよう注意点を理解し、集患する目的の設定や診療圏調査の実施など、重要なポイントを押さえることが必要です。安定した経営の実現をめざし、自院に最適な施策を実施してみてください。(クリニック未来ラボ編集部)