院内ミーティングをしても変わらない?コミュニケーションが活性化しない原因と改善策《人事の外来お悩み相談室》【第4回】

院内ミーティングがなぜ効果を出せないのかを解説する人事の外来お悩み相談室第4回

「スタッフがすぐ離職してしまう」「適正な給料の決め方がわからない」「マネジメントって何をすればいいのだろうか?」

クリニック経営において最大の悩みの種となるのが、「ヒト」に関すること。

本コラムでは、なかなか相談しづらいクリニックの「ヒト」にまつわる課題に数多く向き合ってきた専門家が、人材採用や育成、組織づくりなどの悩みに答えます。

第4回のテーマは、「院内ミーティングでコミュニケーションを活性化するにはどうすればいいか?」 です。

なお本稿では、院内ミーティングの中でも、朝礼のような短時間の情報共有ではなく、定期的に行うスタッフ全体のミーティングを中心に取り上げます。

■専門家プロフィール

株式会社ギミック執行役員 HR事業部門
「人事の外来」人事の相談窓口担当
寺内 隆央

1993年株式会社リクルート(現・株式会社リクルートホールディングス)入社。新卒採用に苦悩する企業へ、前例にとらわれない画期的な採用スキームを提案、実装。さらに、企業規模を問わず、人材の採用全般や育成・評価制度策定までも手がけ、人材の育成や定着を通して企業の成長に貢献する。その後営業コンサルタントとして、大手人材企業やIT企業などの組織づくりに従事。将来の「組織の成長」まで見据えた人材の育成や組織の構築が高い評価を得る。

HRコンサルチーム アカウントマネージャー
「人事の外来」人事の相談窓口担当
髙野 祐介

2014年に株式会社ギミックに入社後、ドクターズ・ファイルの営業活動に従事。開業医が抱えるクリニック経営や人事の課題に直に触れ、その多様さを実感する。2020年以降は営業企画部長や営業部長として組織マネジメントや人材育成にも尽力。マクロとミクロ双方の視点で組織力強化に貢献する。現在は「クリニックの人材育成」を支えるHRコンサルチーム責任者として、ドクターズ・ファイル クリニコを活用した人事評価制度を多数のクリニックへ導入。

ドクターズ・ファイル クリニコ

この記事でわかること

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院内のコミュニケーションを良くしたいDクリニックのお悩み

今回は、「院内ミーティングを続けているのに、会話が増えないのはなぜ?」「きちんと実施しているのにうまくいかない」と思っているDクリニックのお悩みを解決します。

〈Dクリニック〉

東京都内で開業して7年目の内科・麻酔科クリニック。院長の専門であるペインクリニックを軸に、内科一般も幅広く診療。若手からベテランまで8人のスタッフが在籍し、半年前から院内の情報共有と連携強化のため毎月、院内ミーティングを実施している。

院内ミーティングを実施しても、コミュニケーションが活性化しない

院内ミーティングを続けていても会話が広がらず、思うような変化が得られない——そんな相談は院長からよく寄せられます。時に、孤独さを感じることもあるといいます。Dクリニックも同じ悩みを抱えていました。

さっそく、Dクリニックから寄せられた悩みを見ていきましょう。

スタッフ間で認識のズレや情報共有の漏れがあり、患者さんから「スタッフによって対応が違う」とクレームが続きました。そこで、チームワークを良くするため、診療が終わった勤務時間外に、月1回の全体定例ミーティングを始めました。

スムーズに進めようと、院長である私が中心となって話していますが、スタッフからの意見はほとんど出ません。

最後に決定事項を伝えて「これでいいよね?」と合意を得るようにしていますが、返事はあっても現場で行動に移されることはありません。

さらに議題がまとまらず、結論が曖昧なまま1時間半ほどかかることも多い一方で、逆に誰からも意見が出ず早々に終わってしまう日もあり、どちらにしても実りのある話し合いになっていません。

最近は新しく入ったスタッフが長続きせず辞めてしまうことも増え、正直、このまま続ける意味があるのか不安になっています……。

クリニックにおける院内ミーティングの重要性とは?

少人数のクリニックでは、日々の業務の中で自然とコミュニケーションが取りやすいことから、これまでミーティングが重視されない傾向にありました。

しかし、スタッフ構成の多様化、勤務体系や業務の複雑化が進む中で、クリニックでも院内ミーティングの重要性は高まっています。

院内ミーティングが果たす情報共有・意思決定の役割

近年、クリニックでも定期的に話し合う場を設ける動きが広がっています。およそ半数規模で広がっているという見立てもあり、情報共有や意思決定を素早く行う場として機能しています。

院内ミーティングの主な目的は、「情報共有」と「意思決定」の2点です。

  • 情報共有…院長・スタッフ双方の思いを伝え合い、相互理解を深める
  • 意思決定…クリニックとして決まった方針や方向性をもとに、今後の動きをすり合わせる

院内ミーティングは、組織力強化・コミュニケーション活性化・業務改善に寄与する、重要なスタッフマネジメント手法の一つです。

定期的に対話の場を持つことで、院長とスタッフが考えを共有しやすくなり、クリニックとして進むべき方向への目線合わせがしやすくなります。理想のクリニックをめざすうえで、この目線合わせは欠かせません。

院内ミーティングは、院長・スタッフ双方にメリットが大

クリニック未来ラボが調査した「開業医白書2025」(※)では、開業医の21.6%が「スタッフとのコミュニケーション」に悩みを抱えていることがわかっています。院内ミーティングは、こうした課題の解決に役立つスタッフマネジメントの手段です。

院内ミーティングによって得られる主なメリットは、次のとおりです。

  • 院長:理念や診療方針を共有しやすくなり、理想のクリニックづくりにつながる
  • スタッフ:業務改善のヒントが生まれ、働きやすさやモチベーションの向上につながる

このように、双方にプラスの効果があり、院長とスタッフのコミュニケーションが活性化することで職場の一体感が高まります。結果として、患者満足度や医療安全の向上にも寄与するといえます。

※出典:クリニック未来ラボ「開業医白書2025」

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1.実施する目的が不明確で、議論が迷走する

Dクリニックの場合、「院内ミーティングをすること」自体が目的になっている可能性があります。

本来は、「何を共有する場なのか」「何を決める場なのか」を明確にしておく必要があります。しかし、この“目的”が院長・スタッフ間で曖昧だと、話題が散漫になり、結論が出ないまま時間だけが過ぎてしまいます。

2.準備不足で、時間ばかりかかる非効率な進行

議題や資料の事前準備が不十分だと、どうしても場当たり的な進行になります。その結果、ジャストアイデア(単なる思いつき)しか出なかったり、長時間かけても明確な結論が出なかったりと、非効率な時間になりがちです。

また、内容が定まらないまま院長の話を一方的に聞く状況が続くと、スタッフは「時間の無駄だ」と感じやすく、ストレスにつながります。とくにDクリニックのように、給与が発生しない業務時間外で実施している場合は、不満がさらに高まりかねません。

3.重要な議題や情報が網羅されず、認識のズレが残る

スタッフ間の認識のズレやコミュニケーション不和が解消されていない様子から、ミーティングで話し合うべき重要な項目が抜けていたり、必要な情報が十分に共有されていなかったりすることが背景にあると考えられます。

その結果、スタッフ間で業務上の判断がそろわず、対応のばらつきが残り、さらなるクレームを招く恐れもあります。

4.発言が偏り、スタッフが参加しづらい雰囲気

院長だけが話し、スタッフはうなずくだけ――。立場の強い特定のメンバーに話が偏ってしまうのは、現場でよくあるミーティングの失敗パターンです。

こうした状況では、スタッフが「場を乱すかも」「否定されるかも」と感じ、意見を言いづらい空気が生まれます。心理的に安心して発言できない環境では、当然、コミュニケーションも活性化されません。

その結果、院長もスタッフとの一体感を得られず、孤独を感じやすくなります。

5.意見交換がなく、スタッフ同士の相互理解が進まない

スタッフ同士で意見を交わす機会がないまま、院長からの一方的な情報伝達に終始していると、互いの考えや価値観が見えず、相互理解が深まりません。

さらに、スタッフは「自分の考えは必要とされていないのだな」と感じてしまい、モチベーションの低下にもつながりやすくなります。

その結果、チームワークが育ちにくくなり、日々の連携にも影響が出てしまいます。

6. 決定事項の納得度が低く、実行まで進まない

Dクリニックでは、院長がミーティングの最後に合意を取るようにしていますが、スタッフが実際の行動に移していない点を見ると、表向きには承諾していても、本心では納得していない可能性があります。

その背景には、話し合いの場であるはずが、院長からの共有に偏り、決定のプロセスが曖昧になっていることが考えられます。

また、ミーティングで決まった内容があっても、「誰が・何を・いつまでに行うのか」が明確でなければ、行動に落とし込めず、改善も進みません。

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議題と資料を事前に参加者全員へ共有する

寺内:ミーティングを有意義にするには、事前の議題・資料共有が欠かせません。あらかじめ目を通してもらうことで、当日の“読む時間”が省略できるだけでなく、話し合うべき項目の抜け漏れや、話があちこちに飛んで無駄に長引くのを防げます。

髙野:スタッフ側も事前に把握できると、自身の考えを整理しやすくなり、発言のハードルも下がります。とはいえ現場は忙しいので、院長がすべて抱えず、資料作りはスタッフと分担して進められると好ましいです。

この際、現場をよく知るキースタッフと役割を分担することがポイントです。現場の視点が入ることで内容がより具体的になり、スタッフも“自分ごと”としてミーティングに参加しやすくなります。

また、「ドクターズ・ファイル メディパシー」のような院内コミュニケーションツールを活用するのもお勧めです。忙しいスタッフでも手が空いたときに確認できるため、事前共有がさらにスムーズになります。

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ミーティングの目的とゴールを明確にする

髙野:ミーティングの冒頭で、毎回、「今日のミーティングの目的」や「決めたいこと・ゴール」を確認すると良いですね。

例えば、「業務改善案を3つ決定する」「ヒヤリ・ハット報告を確認する」など、“何をするための時間なのか”をきちんと言語化することで、話し合いが迷走したり、ダラダラ長引いたりすることを防げます。

寺内:また、「院内ミーティングは情報共有や意思決定の場である」という前提が共有されていることも重要です。この前提が曖昧だと、どれだけゴールを設定しても、スタッフが不満や愚痴を口にするだけの場になってしまうこともあります。

建設的な場にするためにも、ミーティング自体の目的は事前にしっかり伝えておくことが必要だと思います。

全員が発言できる仕組みをつくる

寺内:スタッフの発言がない=意見がない、とは限りません。「発言しづらい」「言っても無駄」など、声を上げづらい理由が隠れていることもあるため、「どう思う?」と問いかけるなど、意見を引き出す姿勢が大切です。

院長が「若手やパートさんの意見も聞きたいな」と声をかけるだけでも、場が和らぐと思います。

髙野:それに、誰かが一方的に話すのではなく、参加者全員が発言できるような工夫も大事ですね。例えば、「ラウンドロビン方式」といって一人ずつ順番に意見を出す方法や、進行役が公平に指名するルールを取り入れるのも一手です。

また、ミーティングを待合室で行っているクリニックも多いですが、一列に横並びではなく、互いの顔が見えるように椅子を配置するだけでも発言しやすさが変わります。

決定事項を明確化し、実行の状況を確認する

髙野:ミーティングで決まったことは、必ず「誰が・何を・いつまでに行うのか」を明確にすることがポイントです。この点が曖昧なままだと実行されず、改善が前に進みません。

話し合った内容は議事録として残せると理想ですが、難しい場合は、その場で言葉にして共有するようにしましょう。また、次回ミーティングで進捗を確認するようにすれば、決めただけで止まってしまうのを防げます。

寺内:決定事項は短いメモにまとめ、「ドクターズ・ファイル メディパシー」のような院内コミュニケーションツールで共有するのも有効です。掲示板機能を活用すれば、万一ミーティングに不参加だったスタッフでも、すき間時間に手軽に伝達事項を確認できるため、進み具合の共有や状況の確認もしやすくなります。

こうした流れをつくることで、院内のミーティングがより成果につながる時間になります。

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院長とスタッフの橋渡し役となるスタッフを見つける

寺内:スタッフの中に、“院長の考えを理解してくれる人”を見つけ、その人にミーティングの進行役や決定事項の実行サポートを担当してもらうと良いでしょう。本来は全員に理解が広がるのが理想ですが、難しい場合はまずはその一人から始めてみてください。

クリニックでは、ともすると「院長対スタッフ」という構図になりがちです。だからこそ、院長の意図を理解し、必要に応じてスタッフに言葉を補って伝えてくれる“橋渡し役”の存在が大きな助けになります。

髙野:特に、この役割はリーダー的なスタッフが担うと機能しやすく、任せることで「期待されている」という実感につながり、本人のモチベーション向上にも寄与します。

橋渡し役のスタッフは、院長とスタッフ双方の気持ちを理解している分、話し合いをスムーズに進めやすくなります。結果として、院内のコミュニケーションはぐっと活性化していくでしょう。

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クリニックの院内ミーティングに関するよくある質問(FAQ)

クリニックで院内ミーティングを始めても、「時間が取れない」「うまく進まない」と悩む院長も多いものです。ここでは、ミーティング運営に関するよくある疑問にお答えします。

Q.院内ミーティングの時間や頻度はどのくらいが適切?

A.ミーティングは、30分程度(長くても1時間以内)に内容を絞って進めるのがお勧めです。

時間を短めに設定すると、「どう進めれば限られた時間で終えられるか」をスタッフも自然と工夫するため、集中しやすく、議論もまとまりやすくなります。

頻度は月1回が目安です。日々の細かな共有や確認は、朝礼やメッセージツールでカバーすると、全体ミーティングの負担を減らせます。

また、勤務時間内に実施することが基本です。勤務時間外に行う場合は、時間外手当の支給など、スタッフが不公平感を抱かない配慮が必要です。

Q.スタッフが受け身で、なかなか意見が出ません。どうしたらいい?

A.スタッフ主導で進められる仕組みづくりがお勧めです。その方法の一つとして、司会を持ち回りにしてみるのも手です。

院長が進行すると遠慮や緊張が生まれやすいため、進行役が公平に発言者を指名するなど、誰でも話しやすい場づくりが大切です。

また、スタッフにテーマを渡して小さな発表の機会をつくるのも有効です。任せる範囲を少しずつ広げることでマンネリを防ぎ、院長では気づかなかった視点も出てきます。

クリニックは院長に決定権が集まりやすい構造上、トップダウンになりがちですが、こうした工夫を重ねることで、スタッフに「当事者意識」が芽生え、主体的な参加につながります。

Q.朝礼と定例ミーティングはどう使い分ければいい?

A.朝礼は、情報の共有や業務の確認に加えて、「今日も頑張ろう」とスイッチを入れる場です。

一方、定例ミーティングは、先月の振り返りや今月の目標設定、課題の確認や改善案の検討など、クリニックの未来につながる話し合いを行います。

理想は両方実施することですが、最初から完璧をめざす必要はありません。朝礼を先に定着させ、余力が出てから月1回の定例ミーティングを始めると、現場の負担が少なく運用できます。

Q.従業員5人未満のクリニックでも、ミーティングをしたほうがいい?

A.実施をお勧めします。院内ミーティングは、理想のクリニックを実現するために行う、スタッフマネジメントにおいて有用な手段です。

少人数の組織の場合、「日々の診療中の会話で十分」と思われるかもしれませんが、診療中はどうしても運営や改善の話まで踏み込めません。

15分程度の短時間でもよいので、きちんと対話の時間を設けることをお勧めします。

スタッフが1〜2人の場合は、全体ミーティングにこだわらず、個別面談で代替すると良いでしょう。

看護師や医療事務、受付などクリニックで
働くスタッフを適切に評価・管理

ドクターズ・ファイル クリニコ

Q. 効果を感じられず院内ミーティングをやめました。再開すべき?

A.課題が残っているのであれば、再開することをお勧めします。

やり方に問題があっただけで、院内ミーティング自体は、適切に運用すれば相互理解を深め、チームワーク改善やクレーム削減につながる効果があります。

ただし、一度やめている場合は、同じ運用をそのまま再開しても、うまくいかない可能性があります。「院長の発言だけになっていた」「目的が曖昧だった」「とりあえず集まっていた」など、つまずいた原因を振り返り、そのポイントだけを丁寧に見直すことが大切です。

自院の規模や課題に合ったかたちに調整して再開ることで、継続しやすく、効果も出やすくなります。

継続と改善の積み重ねが、クリニックを大きく成長させます。(髙野)

まとめ

院内ミーティングは、院長・スタッフ双方にメリットがあり、ポイントを押さえながら実施することで、院内コミュニケーションの活性化に役立ちます。クリニックの一体感が増し、患者満足度の向上や、ひいては医療安全にも良い影響をもたらすでしょう。

理想のクリニックを実現するための、スタッフマネジメントの有効な手段の一つとして、積極的に導入したい取り組みといえます。

とはいえ、日々の診療をこなしながら院内ミーティングの運営を考えるのは、決して簡単なことではありません。そんなときは、外部の専門家に相談するという選択肢もあります。

人材や組織のお悩みがあれば、ぜひクリニック向け総合サービスプラットフォーム「ドクターズ・ファイル」が提供する「人事の外来」のような、人材採用や育成、評価、組織開発、スタッフとの信頼関係の構築へのアドバイスが受けられるサービスを活用してみてください。

■お問い合わせ先
ドクターズ・ファイルが提供する「人事の外来」窓口
メールアドレス:contact_hr@gimic.co.jp
お気軽にご相談ください!

(クリニック未来ラボ編集部)

<執筆者プロフィール>
クリニック未来ラボ編集部
クリニック未来ラボは、開業医、開業をめざす勤務医・医学生に向けたクリニック経営支援メディアです。独自の視線で調査・研究し、より良い医院経営に役立つ情報として発信。「開業医白書」をはじめ、診療報酬改定や医師の働き方改革、医療従事者の転職動向など、医院経営に関する調査レポートも公開しています。

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